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一枚乗った! これで本田の手はマンガンに昇格! ツモか白鳥からの直撃でトップだ!
これに困るのが白鳥。
前巡、本田のポンを受けて既に降り体勢。本田の仕掛けにもし打ち込んでマンガンあったら三着。それだけは絶対に避けなければならない。
この局の結果は……
そう時間がかからなかった。茅森のを本田が捉える。
トップにこそ届かないものの、二着へと上昇するアガリとなった。
こうしてトップから白鳥、本田、茅森、滝沢となったわけだが……
このオーラスの局面、話題に上がったのが「本田は茅森からのロン牌を見逃す手はなかったのか?」という点だ。
なるほどMリーグというルールはトップが偉い。「トップラスはプラス」という言葉でも分かるように、トップを取れば後のラスを補ってなお余りあるのだ。
(ちなみにこの話題を取り上げていたのはMリーグセレクトでおなじみの須田プロであった。Mリーグと同様、トップが偉いルールである協会の方はトップへの嗅覚が鋭い。)
本田はマンガンの直撃かツモアガリでトップに浮上する。
仮にここで茅森からアガらずに、白鳥から直撃が取れればトップ。そうでなくても自力でツモればトップだ。
ここで考えるべきことは四つ。
①残り巡目でツモアガる確率(数理+論理)
②白鳥から直撃を取れる可能性(論理)
③自身の着落ちの可能性(論理)
④上記三つの情報をもとに、今ここで二着確定アガリをするのとどっちが得か(総合的判断)
①残り巡目でツモアガる確率
本田視点にて、残り巡目でツモアガる確率について、残り未知の牌n枚の中にa枚のアガリ牌がありr回のツモでツモ上がる確率と言い換えることができる。
鳴きも本田のツモ以外のアガリもないと仮定して、
nは84枚、aは本田の目からは5枚、rは8回。
これを計算すると、今見逃しても40.2%の確率でツモアガれる。
当然打っているときにこんな暗算や暗記をしているわけではないので、実際の局面では読みで山にいそうな枚数を考え、それに自分のツモ回数からツモれる確率をある程度自分の中で見積もっている。
ちなみに手牌読み・山読みで山に3枚はいそうだなとなった時、そのツモアガれる確率は計算すると45.2%となる。(上より確率が高いのは未知の牌84から他家の手牌39を読みで消すことが出来たという形になるため。)
あくまで最後までツモり切れたらの仮定なので、実際には滝沢・白鳥・茅森のアガリや自身による妥協のロンアガリも含めると確率はぐっと低く見積もる必要がありそうだ。
②白鳥から直撃を取れる可能性。
見逃したことにより、白鳥から直撃を取れる可能性はどれくらいあるだろうか。
これについては正確な数値を割り出すことはできないが、0に近いと断言していいように私は思う。
なぜなら白鳥目線では振り込んだらマンガン濃厚=三着落ちの牌だからだ。
これにはまずこの局本田の仕掛けから振り返る必要がある。
本田は一枚目のから積極的に仕掛けていっての対子落とし。その前にはも切っている。
茅森と3800差・白鳥と10300差で滝沢にはマンガンツモられても着落ちがない本田が1000点や2000点の手で一枚目のを仕掛け、切りやの対子落としに手をかけるだろうか。
卓内の共通認識として、本田の仕掛けはポン時点で3900の見込みがある手牌だったといえよう。
そしての加カンで捲れた新ドラ。早切りのと合わせると、で振った時にはまずの両面だろう。既に手牌にある3900の材料、それに新ドラのが合わされば、あっというまにマンガンだ。
本田の持ってくる牌次第といえるが、現時点でと三巡は凌げる。その後も白鳥の雀力をもってすれば、選ばれるのは鳴いてないの筋やとなり凌げていただろう。
また、仮に本田の見逃し後に茅森からリーチがかかったとしても、白鳥はを選ばなかっただろう。
それには点差が関係している。茅森との点差は6500・本田との点差は10300。これは何度も言うが、本田へのマンガン放銃で1着⇒3着となることを示している。
一方で茅森にはマンガンまで打つことができる。茅森の打点は不明なうえに裏ドラの存在も怖いが、それほどまでに本田にで打ったらマンガン確定という事実が白鳥の頭に入っているからだ。
③自身の着落ちの可能性
滝沢が跳満をツモor滝沢にマンガンを打ち込むの2パターン。カンドラが増えてしまった上、見逃した以上自身はある程度押してトップを狙うため、無視できないリスクだ。
さて、上記①②③を踏まえたうえで、皆さんはどう考えるだろうか。
リーグ戦の序盤だからこそリスクを取ってもいいという考え、レギュラー→セミファイナルで下位二チームに入らないことが当面の目標なので安定した二着を取るべきという考え、どちらも理解できる。
本田自身としては「見逃しの選択肢自体は頭にあったが、見逃す気持ちはなかった」と控室インタビューで答えている。
私も見逃さないほうがいいように思える。しかし実際に計算を行うと意外とツモアガる確率も高いもんなんだなと驚いたのもまた事実である。この辺は①の計算を自分の中の見積もりのみで済ませていると忘れがちな部分でもあるので、これからも気になった部分は計算していきたい。
ぜひとも皆さんも様々な情報を踏まえて喧々諤々意見を交わしてもらいたい。