10月31日(月)の第2試合、オーラスの出来事はかなり印象に残った方も多いだろう。
点棒状況は東家から、
セガサミーフェニックス・茅森早香 38700
EX風林火山・松ヶ瀬隆弥 50300
U-NEXT Pirates・鈴木優 -2400
KONAMI麻雀格闘倶楽部・伊達朱里紗 12400
となっていた。
供託は1本の、1本場。

南家松ヶ瀬が2着目の東家茅森と11600点差でトップ目。
西家の優は大きなラス目だが、3着目の北家伊達とは14800点差。
ハネツモかマンガン直撃でかわす、といった状況。
このときの優の配牌が、なんとこう。

そして2巡目にテンパイし、リーチ。


高めメンタンピン赤、ただしツモっても裏ドラが必要になるが、
被り牌もない形であり、これ以上ないくらい望ましいテンパイだろう。
は、伊達からはやはり裏ドラ期待でロン、
他二人からはどれもアガりたくはない。
ただ茅森の押し返しが強すぎた場合は、迷うところ。
松ヶ瀬は、ハネ満を打つと茅森を下回るので、迂闊に何でも切るというわけにはいかない。
見逃しも想定はできるが、裏ドラが乗っての倍満期待で倒されることもある。
さて、この3メンチャンが一向にツモれず、ついに優も松ヶ瀬も歓迎しない茅森のリーチが飛んできた。


10巡目、待ちはだが
が目に見えて4枚切れで
しかない。
ただ茅森の立場上は、どんな待ちでもリーチには行きやすい。
着順のダウンはまずないし、目指す松ヶ瀬とは11600点差もある。
そしてこの後も二人のアガリ牌はお互いのツモ牌に顔を出さず──、
残すは松ヶ瀬のハイテイツモだけとなった。
流局して、もう1局だ。


しかし松ヶ瀬は、ツモ山に手を伸ばさない。
茅森の切ったドラのを見つめている。
松ヶ瀬はやや思案して、

をポンして安全牌を切った。
こうすると、ハイテイが優に回る。
降って湧いたラストチャンスを優がめくると、


それは待ち望んだ。

メンタンピンツモハイテイ赤で、文句なしのハネマン。
裏ドラも乗ったが、ハイテイで十分であった。

茅森は松ヶ瀬が送り込んだアガリ牌をにらみつけ──、

伊達はただ目の前で起こった奇跡の逆転劇を受け止めるしかなかった。

このハイテイ送りの魔法のようなトップは、かなり視聴者にとって目新しい結末だったように思う。
たとえば一般に行われているフリー麻雀のルールなどでは親のアガリ止めがあり、
親がホウテイでアガるチャンスを与えることはまず考えにくい。