【赤坂ドリブンズ・越山剛監督ロングインタビュー】「ドラフトを経て向かう、新しい赤坂ドリブンズが目指す姿とは」

赤坂ドリブンズはMリーグで2年連続レギュラーシーズン敗退を喫し、選手入れ替え規定の適用もあって村上淳丸山奏子の2選手との契約を満了、チーム再編を迫られることになった。敗れたチームに対して厳しい声が飛ぶのは、プロスポーツチームにはよくある話。特にドリブンズに対しては選手起用をはじめとするチーム方針について、SNSを中心に多くの意見が散見される。敗戦を受け、ドリブンズはこれからどうチームを運営し、何を目指していくのか。6月某日、チームの越山剛監督にお話を伺った。

■敗戦の理由と采配

──赤坂ドリブンズは、Mリーグにおいて2シーズン連続でレギュラーシーズン敗退となりました。実力者がそろったチームという評価もある中で恵まれない、不運なところもあったと思いますが、今は敗因をどのように捉えていらっしゃいますか。

まず、結果に関しては残念以外の何物でもないです。本当に残念でとても悔しい。

ただ、そもそも質問にあった「実力者が揃った」かどうかというところを鵜呑みにしたままお答えすることはできないです。もちろん僕自身は選手の実力は高いと思っています。皆さんもそうでしょう?

ただ、実力というのは最終的には全て数字に紐づくものと思います。園田・村上・たろうはこれまで麻雀界で圧倒的な数字を残してきた実績のある選手です。

しかしながら、Mリーグというこれまでの麻雀界になかった新しい舞台において圧倒的な数値が残せていない以上、「実力があるのに結果が出なかった」と言っていいのかどうかわからない。

今の質問に対して、まずこの姿勢をお伝えしないで答え始めると、自分たちは実力者だと認識していることになるし、そこに対する考え方は提示したほうがいいかな、と。

その上で敗因をどう考えるか? ですよね。Mリーグは団体戦で、「最高の個人競技が、最高の団体競技になる」というキャッチコピーがあります。あれは実は4年前に僕が書いたのですが、まあそれは置いておいて、やはり麻雀の本質は個人戦で、ドリブンズの成績も4人の成績の積み上げです。

そこで今シーズンの数字を見ていったときに、園田は十分なポイントを獲得していて、他3人はそうではありませんでした。ですから、ドリブンズのポイントの少なさを振り返る上で、まず考えるべきは他3人の結果が出ていない要因がどこにあるのか、だと思います。

たとえば村上さんは麻雀遊戯barで「下振れだった」と言っていましたよね。たろうさんも他のところで「きつい展開が多かった」という話をしていました。そこについては、選手それぞれに直接聞いていただくしかないと思っています。

なぜならば、選手以上に監督が(ポイントが稼げない理由を)理解する、把握するってことはないと思うからです。来シーズンからのフェニックスは元Mリーガーでトッププロの近藤誠一さんが監督になられるので違うレイヤーになるのかもしれませんが、麻雀の技能的な評価を、Mリーグにおいては監督が正確に行えないと思います。ここが他のプロスポーツと大きく異なるところです。

もちろん、野球だってサッカーだって秀でた成績を残した人だけが監督になっているわけではないし、監督が実績上位の選手を判断することがよくあります。しかし、それは、成績と技能的な実力がある程度比例している、という前提のもとです。4割打っている選手をスイングが悪いと言って起用しない監督も、投げては打たれる投手をフォームが優れているからといって登板させる監督もいない。僕も少しは麻雀をやりますけど、それでも、選手の技術的な力量に関しては、本当の意味で正確に測ることなどできません。運がなかったから数字が出ないのか、技術が劣っているからなのか、明確に判断できない中で指揮しなくてはならないのです。

そもそも、これはドリブンズのテーマにもなっているのですが、麻雀という競技はまだ全然解明されていません。多井さんも以前、「麻雀の正解の1%にも辿り着いていないんじゃないか?」とおっしゃっていたと思います。今はたくさんの試行回数を重ねて、その正解探しをみんなでしている過程だと思うんです。ですから、無責任な発言に聞こえたら申し訳ないのですが、それでも真摯にお答えするのであれば、敗因が運なのかどうかも含めて「分からない」というのが正直なところです。

──不運が続いていてメンタルが揺れている選手の起用を調整するとか、監督としてやれるところはあったのでしょうか。

それはメンタルが揺れていたら、の話ですよね。不運が続いたくらいで、うちの選手たちのメンタルは揺れないですよ。彼らがこれまでに何万回、麻雀を打ってきていると思っているんですか。

むしろ正しい選択を行なって、にもかかわらず不運によって、ここでいう不運が何を定義するのかは一旦おいておきますが、結果が出なかったとき。それを理由に起用から外されたら、その選手はどう思うでしょうか。麻雀に限った話ではないですよね。一生懸命、かつ、正しい判断や選択をしたのに「不運で」結果が出なかったら次からチャンスを奪われる職場だとしたら、一生懸命頑張り続けられるのか? ということです。

村上淳丸山奏子契約満了

──今回、Mリーグの選手入れ替え規定の適用もあり、村上淳選手・丸山奏子選手との契約満了が発表されました。

ルールの話だけで言えば1人入れ替えればいいところを、2人入れ替えることにしました。自分で言うのもなんですが、ここにチームの意志が表れていると思います。

そして、これは仮定の話になってしまうのですが、もしかしたらファイナルに進んで入れ替え規定にかからなかったとしても、優勝できていたとしても、このオフに選手を入れ替える可能性はあったと思っています。そしてプロチームとはそういうものだと思っています。

選手入れ替え規定についてはYouTubeで僕が言ったことが炎上していたらしいですが、あれは「プロのリーグが所属するチームの成績に応じて選手の入れ替えを規定するのは聞いたことがない」という事実を言っただけの話です。プロ野球しかり、サッカーしかり、世界で見たり聞いたりしたことがない。

ただ、これらのスポーツは先にも述べたように、個人の成績と、技量や心身の状態が直結しているので頻繁に選手の入れ替えが起きますが、麻雀の場合、なかなかそれができない。ですから、入れ替え規定がないと選手の流動化が進まないと危惧し、より多くの選手に門戸が開かれたほうが良いと判断して定められたルールであることは理解していますし、そのルールをあらかじめ聞いていたので批判する気など毛頭ありません。

「監督を変えろ」という議論はいったん置いておいて(苦笑)…、いや、ここも色々とお話ししたいんですよ。ただ、これも他のスポーツと異なり、Mリーグはオーナーシップが監督を兼任しているんです。なので、適切な人がいたら監督を新たに迎え入れたいという気持ちは以前よりずっと持っています。なので、フェニックスさんは本当に羨ましい。やってみたら色々と難しいところもあるのかもしれませんが、それでも、以前より我々が理想としていた形で、目指すべき姿です。将来、いつの日になるかわかりませんが、園田やたろうが監督になって、より高度な判断や育成ができるチームになるといいな、と夢見ています。

話を戻しましょう。我々のチームとしては常に、より良い選手が欲しいと思っています。そして今回はそういう選手がいましたし、ルールで入れ替えも行うことになりました。

じゃあ誰を入れ替えるかとなるわけですよね。村上さんはここ2年間Mリーグにおいては成績こそ出ていませんでしたけど、麻雀の技術は絶対的には高いと思います。ただ、同じように技術の高い選手が他にもいるのもまた事実です。

それを踏まえたときに、ドリブンズとしては色々な武器を持っている選手が欲しい、と思いました。手段を限定せず、なんでもやれる選手がチームに欲しいと思ったのです。これの正否は分かりません。ただ、ドリブンズを5年やってくる中で他のチームやMリーグ全体を見ていったときに、より多様な戦術、ポリバレント(※)というところを目指したいという考えになり、村上さんより適した選手がいた、というのはあります。

※ポリバレント:「複数のポジションをこなすことのできる選手」という意味

──丸山選手についてはいかがでしょうか。

まず、丸山指名の経緯からお話しします。Mリーグでは2シーズン目が始まる前に「男女混成でチームを編成する」という規定ができ、ドラフトが行われました。今だから言いますが、最初は瑞原さんの獲得を目指しました。しかしながら、瑞原さんは我々より先の指名順で他のチームに獲得される可能性が高かった。何せ、ウチは優勝チームで指名順が最後だったので。

そして、一方では「最高の個人競技が、最高の団体競技になる」と掲げた以上、他のスポーツ同様にチームとして若く有望な選手を育てることは絶対にやらないといけないとも思っていたんですね。

麻雀はずっと個人の戦いとして存在してきて、もちろんプロアマ問わずして「打姫オバカミーコ」的な師弟関係はあるでしょうが、チームとして強くなることを掲げたことはなかった。だから男女を問わず、経験の浅い選手を一人の師匠ではなく組織として強化することができれば、中長期で見たときに他チームとの相対評価で強くなれると思っています。

ですから、瑞原さんが獲れない可能性があると想定した時点で、まだキャリアが浅く、色というかクセのついていない伸び代の多い選手を獲りたいと考えた結果、ふさわしい選手として選んだのが丸山さんでした。彼女が園田、村上、たろうと共に成長していけば、今までにいない女流選手になれると思いましたし、そうなれば麻雀界全体でも良い選手が増えていくのではないか、という思いもありました。

彼女の育成がどうだったのかという声もあると思いますが、彼女は4年間で十分技術向上しましたし、麻雀というゲームの理解度も高まったと思います。

ただ、これは本人も思っていることですが、トータルで見たときに「もっと努力できただろう」と感じるところもあったんです。それは対局など表向き見えている部分だけではなく、4年間の練習内容や結果、日頃の活動なども含めてです。もっと麻雀に打ち込めたのではないか、今以上にもっと上手く強くなれたのではないかと思っています。

その意味で言うと、このままMリーグにいても彼女のためにならないんじゃないかと思いましたし、それは本人とも直接話し合いました。彼女はいったんMリーグを離れますが、それこそ「もっとがむしゃらに麻雀をやって、ポテンシャルを開花させて、天鳳位を獲って戻ってきて欲しい」って言いましたよ。僕は麻雀プロにとってMリーグが全てではないと思いますし、ゴールですらない、そうあってほしくない。ただの舞台だと思う。だからこそ、最高位戦、天鳳、そういったところでもう一度がむしゃらに麻雀をやって、勉強して、もっと強くなってほしい。Mリーガーに満足しないで欲しい。まだまだ時間はたっぷりある。もちろんドリブンズに戻ってこられるか、そもそも彼女自身が戻りたいと思うかは分かりませんが、彼女にはそこに向けての時間が必要だと思ったんです。

ただ、彼女自身は本当によくやってくれたと思います。SNS上で色々言われたこともたくさんありましたし、監督の僕に対してもきっと色々な不平不満もあったでしょうけど、そんなことは微塵も出さずにみんなと一緒にドリブンズの一員として戦ってくれました。そこに関しては本当に彼女と一緒で良かった、素晴らしかったと思います。

彼女がいつかまた戻ってくることを切に願っていますし、そのためのサポートはこれからもします。うちの選手と一緒に練習するのも構わないし、聞きたいことがあったら選手に連絡して質問するのも構いません。彼女のリーグでの対局や最強戦なんかも全部見ますし、今後どうなっていくのかはチームでずっと見守っていきます。

■新規獲得選手

──今回のドラフトでは女性1名を含む2名の選手を指名することになります。ドラフトについてもお聞かせください。

今回獲る2人の選手のうち、1人は以前から「この選手がうちに入ったらいいな」と思っていた、もし選手枠が5人に増えるなら真っ先に獲得したいと以前から思っていた選手です。

そして女流選手枠に関しては、こちらで20名ほどの選手をピックアップして声をかけ、セレクション、トライアウトをやりました。内容としては論理的思考力を試す筆記試験を2回、麻雀の筆記試験、実際の対局を行って牌譜を見ながらそれぞれの選択の思考を深く聞く、というものです。

筆記試験は園田とたろうと一緒にどういうフィルターを用意すべきかを考え、より良き判断基準たり得る色々な幅広い問題を彼らが作ってくれました。一例を挙げます。

●あなたは西家で今河底を打牌するところです。
危険牌の【3ソウ】を切れば確実にテンパイ料を得ることができます。
・北家が仕掛けていて打点はほぼ8000点ですが8回に1回は12000点ありそうです。
・東家と南家は確実にノーテンだとします。
・局収支のみで判断します。
【3ソウ】の放銃率が何%以下であればテンパイを取ったほうが良いですか?

●親がリャンメン待ちでダブルリーチをかけたとき、最終18巡目までにツモれる確率は何パーセントか。

●5円玉と1円玉だけを使って100円を支払えるパターンは何通りあるか。

●2345待ちを全部書いてください。

●知人と麻雀中に、「リーチをかけたので他家の手牌を覗いてもよいか」とたずねられました。
この「リーチ後に他家の手牌を覗く」という行為が競技性を損なう理由を論理的に述べてください。

●友人のMさんがカレーを3皿作ってきました。A・B・Cのひとつのカレーは激辛です。あなたがAの皿を選ぶとMさんはBを美味しそうに食べ始めました。そしてあなたにCの皿を選び直して良いよと言ってきます。激辛を食べたくないあなたはどうすればよいでしょうか?

①Aのまま
②Cに変える
③どちらも同じ

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