堀慎吾、
年の最後に勝って吠える
文・東川亮【木曜代打ライター】2024年12月26日
大和証券Mリーグ2024-25、12月26日の第1試合は、全11局で流局なしという激しいアガリ合戦になった。
真っ向からのぶつかり合いも多く、非常に見応えの合った試合について、ポイントになった局を中心に振り返ってみたい。
第1試合
東家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:竹内元太(セガサミーフェニックス)
北家:小林剛(U-NEXT Pirates)
東4局、小林の配牌はドラの西がトイツに赤も2枚、仕上がれば高打点が確約されたような手だった。
1シャンテンでターツ選択となり、小林は愚形で変化も乏しいペン7sターツを払っていく。
直後、裏目の7s引き。
ただ、フリテンとは言えソーズの3メンチャンは十分に強い形。6pのトイツを切ればカンチャン3メンチャンだし、マンズの好形変化も十分にあり得る。
と、思いきや・・・
えっ、ドラ切りですか小林さん!?
ドラのトイツ落としははっきりと2翻ダウンで、一見するとかなり損しているように見える。ただ、西はオタ風で役にはならずタンヤオもつかず、使えるとしたら門前で仕上がったときだけ。アガリを考えるなら、タンヤオ移行によるドラの西切りは確かに面白い。実際、西がドラだから切りにくいだけであって、ただの字牌ならそれほど意外な選択ではないように思える。
次巡、9sを引き戻してテンパイ。役なしでもあり、カン4m待ちで即リーチだ。
さて、これが他3者にどう見えるか。
親の小林がドラをトイツ落とししてリーチ、明らかに異様だ。手役があるなら雀頭で使えばよし、安手でリーチのみにはしないだろうということで、赤を複数持ったタンヤオ移行などがある程度読み筋に入りそうだが、とにかく安いことは考えにくく、何より気味が悪い。
高宮は58m待ちでテンパイし、ダマテン。各者が小林を警戒するなら、現物待ちはかなりアガりやすそうで、わざわざリーチをするようなことはない。
さらに、堀は147m待ちでテンパイ。こちらは待ちの広さでリーチに打って出た。現物ではないし、小林が愚形テンパイなら勝ち目はあると踏んだか。自身がピンフ赤1で打点があるのも後押ししたか。
この対決を制したのは最後に一番良い待ちで切り込んだ堀。裏1の満貫ツモで大きな加点に成功する。
その後、堀は小林から3900、5800と連続加点に成功。小林は少し離されたラス目で試合の終盤を迎える。
南3局、小林の手にツモり四暗刻の1シャンテンという手が入る。2sを切ればリャンメン2つにシャンポン受けも残る、いわゆる「完全1シャンテン」という形で、リードしていればそのような選択もあっただろうが、離れたラス目ならさすがの小林も広さより打点を目指す。
先にリャンメンが埋まってテンパイ。ツモり三暗刻で待ちも西と2sはそんなに悪くはない。小林の敢行したリーチは、なんと待ちが山に全部残っていた。
9s暗槓からの・・・
ツモって・・・
裏3!
リーチツモ發三暗刻赤裏3の倍満が決まって、小林が竹内を逆転する。
直近4連勝で登場した元太だったが、この試合ではなかなか先手が取れず、追いついてもアガリまで結びつかないまま、ジリジリと点数を削られる展開になっていた。
その元太にようやくリーチができそうな手が入ったのは、よりにもよってラス目で迎えた南4局。しかも4枚目の8pとかいう難しい牌を引き入れての役なしテンパイは、アガってもだいたいラスである。
だったら・・・
カンだ。
あえてテンパイから1シャンテンに戻すカンで、無理やり打点を作りにいった。暗槓で符ハネし、9pを切ることでタンヤオの可能性が生まれ、ドラはもちろん裏ドラも増える。もちろん元太としても苦肉の策。