河野直也が選ぶ『Mリーガー究極の決断』〜師弟が織りなす水面下でのせめぎ合い〜魚谷侑未編

今回は急所ではない、つまり、焦って鳴く必要がないのに鳴いている。その場合はどういうことが想定される? と、頭の中で瞬時にパターンが出てるのがすごい。

この【7マン】ポン。
ごくごく自然なポンだが、速度を合わせるだけではなく上家である優にマンズですよーとプレッシャーを与え、優の手が高いか安いかを見定める為にも使える鳴き。
『自然から必然へ』
と本人の中ではそう思ってるようにも見えた。

【5ピン】を持って来て即座に切ったのは場に1枚切れの【白】
ホンイツを狙うなら必要な牌は一目瞭然だが、手牌読みを瞬時にやっていた魚谷にはこれまた必然の【5ピン】止めである。
実際にはまだ当たりではないが、まだまだ遠いこの手から放銃するかもしれない牌を打つのは、やってない。
これが魚谷の安定感。

優の手が止まる。
まだイーシャンテンではあるが、【東】を切ればかなり広い形になる。
だが、魚谷の河を見てもらいたい。

【7マン】をポンしてから【白】、そして今初めてのマンズ、【1マン】が手から出てきたところ。
魚谷は北家。
【白】【發】【中】は場に切られており、残りの役牌は【東】【北】
自身の手がタンヤオのみでリターンも薄いとなれば容易に切れる東ではない。
少考の末【8ソウ】を切り、【東】を切らずに形式テンパイへ方向転換。

ここがめちゃくちゃ大事なポイントなのだ。

実際に放送中も放送を見返しても思ったのだが、魚谷はあんなにも緻密に考えていたのに、【7マン】ポンをしてからすべて一定のリズムでツモって切るを繰り返していた。
打牌を決めてたのはもちろんのこと、全員が自分に対応してくる可能性があるなら隙を見せない為にノータイムでの打牌を心掛けたのだろう。

少考を挟むと、もしかしたらまだノーテン?! ターツ選択!? 対応してる!?
など、相手がもし押す手なら今の内にと切らせてしまう理由を与えてしまうかもしれない。

しかし、ノータイムで一枚切れの【白】、マンズのホンイツやってるのに【1マン】が余った。
と見ると間合いが取りづらく、形が決まってたのかなぁ? など、考えさせて、微妙な手牌の選手は多少なりともマンズと字牌はもうやめようとなってくれる可能性が高まる。

これもまた優が相手にどう見えるかを意識する選手と知っている魚谷だからこそ、優に対して、この仕掛けに安い仕掛けなら、マンズも字牌も切りづらいでしょ!? とプレッシャーを与えるノータイムでの打牌選択だったのではないだろうか。

魚谷は全員を【7マン】ポンからホンイツがテンパイしてるかもしれないと思わせるように違和感なく字牌の切り順、マンズ以外を手出ししたりせず、さらに優に危険な牌を切らずに全て一定のリズムでやってのけたのだ。

結果は全員ノーテン。

最初の配牌からは上出来な結末。

手の内が分かっているからといって勝てるわけではないのが麻雀。
でも、師弟の2人にしか分からない打牌を通じての会話が繰り広げられてたのを見ると、この最高の舞台で戦ってるってお互い嬉しいんだろうなと素直に思った。

筆者にも弟子がいる。
弟子が自分の麻雀を信じて強くなってくれるってこんなに幸せなことはないんです。

だからこそ最高の舞台でお互いが譲れない勝ちへの道を信じ、
更なる高みを目指していくだろう。

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