大和証券Mリーグ2022-23レギュラーシーズン、最終節の展望は
大和証券Mリーグ2022-23レギュラーシーズンは、3月20日、21日に各チームが最終の2試合を戦う。今回は各チーム、各選手の現状を紹介していくので、こちらを元に最終節の戦いをお楽しみいただきたい。
ここまでのチーム・個人成績はこちら
セミファイナル進出争い
まず、現状の順位とセミファイナル進出条件から整理していく。
まず注目が集まるセミファイナル進出ボーダーだが、残り2試合の段階で6位・TEAM雷電と7位・赤坂ドリブンズの差は481.0ポイント。ただし両チームの最終節での対戦はなく、直接対決を考えると、ドリブンズは渋谷ABEMAS、セガサミーフェニックスはTEAM雷電が自力逆転のターゲットになる。
3月20日
TEAM雷電 -56.3
セガサミーフェニックス -556.5
ポイント差 500.2
3月21日
渋谷ABEMAS -26.1
赤坂ドリブンズ -537.3
ポイント差 511.2
2試合で500ポイント超を逆転するには250ポイントオーバーのトップラス(素点差17万点相当)を連続で決める必要がある。しかし、トップラスのMリーグレコードは、今シーズンの黒沢咲が112700点という歴代最高スコアで勝ったときに渋川難波を相手に記録した、240.3ポイント。この数字を連続で超える可能性はゼロではないものの極めて低く、現時点で6位までのチームのセミファイナル行きは、事実上確定したと言っていいだろう。
なお、Mリーグでは「2年連続同じメンバーでファイナルに行けなかったチームは、所属選手を入れ替えなければならない」という選手入れ替え規定がある。今シーズンに規定が適用されるのはEX風林火山・TEAM雷電・赤坂ドリブンズとなっており、ドリブンズはこのままシーズンが終わってしまった場合、3月21日のレギュラーシーズン最終戦が現体制の見納めとなる。
レギュラーシーズン4位以内を巡る戦い
レギュラーシーズンで4位までに入ると、セミファイナルの最終日を打てることになる。最終日に試合を残しているほうが条件を踏まえて戦えるので、セミファイナル進出チームは4位以内を目指して戦うことになる。この争いが、非常に熾烈だ。3位・KADOKAWAサクラナイツから6位・雷電までの差は91.4ポイントと、100を切っている。これは1節で簡単に変わる差だけに、最終的にどのチームが4位以内に入るのかは、まだまだ全く先の読めない状況だ。最終節はU-NEXT Piratesと雷電、サクラナイツとABEMASが対戦するので、まずは両チームの直接対決に注目しつつ、卓外の状況とも照らしあわせながら見ていくと、より楽しめそうだ。
首位争い
レギュラーシーズンの首位には特別な価値があるわけではないが、やはり首位通過というのは気持ちがいいもの。現実的には首位・EX風林火山と2位・KONAMI麻雀格闘倶楽部の2強が争う形となっており、両チームの差は86.2ポイント。ただ、最終節は両チームの対戦がなく、麻雀格闘倶楽部が先に試合を行うので、風林火山はその結果を見て対応を決められるという意味では、若干ではあるが有利と言えるだろう。
個人タイトル争い・MVP
順位争い同様、最終盤のトピックスとなるのが、個人タイトル争いだ。特に今シーズンは、MVP争いが過去に類を見ないレベルで激戦となっており、最後まで目が離せない。現状のランキング上位はこちら。
1位 伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部) 316.8
2位 瑞原明奈(U-NEXT Pirates) 316.0
3位 本田朋広(TEAM雷電) 293.0
4位 勝又健志(EX風林火山) 241.3
5位 松ヶ瀬隆弥(EX風林火山) 240.3
6位 園田賢(赤坂ドリブンズ) 239.1
MVP争いについては、6位の園田賢までが現実的な候補と予想する。7位の高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部・194.1ポイント)は、現状首位の伊達と同じチームで起用法に難しい面が出てくること、そして後述の直接対決の可能性が高いことで、MVP候補には挙げにくい。
個人タイトル争いを予想するにあたり、特に注目したいのが、最終節の対戦カードだ。
3月20日には、個人ランキング上位3選手の所属するチームの対戦がある。選手本人はもちろん、最終盤にはチームもタイトル獲得を後押しする起用をしてきており、初戦には現在3位の本田朋広が出場、この日は結果にかかわらず連闘起用が予想される。そしておそらく、第2試合は伊達朱里紗・瑞原明奈・本田朋広という上位勢による直接対決になるだろう。
昨シーズンは最終戦で個人1位の瑞原と2位の沢崎誠(KADOKAWAサクラナイツ)の対決で盛り上がったが、今シーズンは三つ巴の戦いとあって、さらなる熱戦が期待できそうだ。
関連記事:
最後に笑うのは瑞原明奈か? 沢崎誠か? MVPの座をかけたレギュラーシーズン最終試合【Mリーグ2021観戦記3/11】担当記者:渡邉浩史郎
また、最終日を戦うEX風林火山の勝又健志・松ヶ瀬隆弥、赤坂ドリブンズの園田賢も可能性を残している。両チームは20日の試合を見てから対応を決められるということで、彼らの起用法も気になるところだ。
個人タイトル争い・4着回避率
4着回避率のランキング上位がこちら。
1位 勝又健志(EX風林火山) 0.9130
2位 鈴木優(U-NEXT Pirates)0.8750
3位 瑞原明奈(U-NEXT Pirates)0.8636
現時点での首位は勝又健志。現状は試合にでなければ初タイトルが確定、鈴木優が最終戦に出場しなかった場合は、1戦1ラスでも同率でタイトル獲得となる。20日の試合で誰かが大きく突き抜けない限りは、おそらく最終節で2冠チャレンジをしてくるだろう。
最高スコア賞は1試合の結果で決まるので割愛するが、MVPと4着回避率の個人タイトル争いは、卓内はもちろんのこと、選手起用に至るまで、さまざまな思惑が絡んできそうだ。個人タイトル争いについても、ぜひ最後までご注目いただきたい。
その他の注目ポイント
最後に、その他の注目ポイントについても、軽く触れておきたい。
・TEAM雷電、初のプラスフィニッシュなるか
TEAM雷電は、過去4シーズンをプラスで終えたことがないが、今シーズンは現状マイナス56.3ポイントと、初のプラスフィニッシュが見えるところにつけている。本田がMVP争いを制することができれば、その可能性は大きく広がっているだろう。
・多井隆晴、5シーズン連続プラスへの挑戦はあるか
多井隆晴は過去の4シーズン連続でプラス200ポイント以上を稼いできた選手だが、今シーズンは不調が続いており、現時点でマイナス91.6ポイントとなっている。ただ、5シーズン連続プラスフィニッシュも達成できれば唯一の記録となるだけに、最終節でのプラス域浮上を目指すかどうか。
最終節は、さまざまな条件が絡み合った、特殊な戦いになることが予想される。ぜひ、普段の麻雀では見られないような駆け引きを、最後までお楽しみいただければと思う。なお、麻雀は時間打ち切りのゲームではないため、最終戦南場の親番が落ちるまではあらゆる可能性が残されていることを、最後に明記させていただく。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。