南3局トップ目、
渋川難波が迫られた選択
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2024年11月11日
第2試合
東家:中田花奈(BEAST X)
南家:本田朋広(TEAM雷電)
西家:渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:高宮まり(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南3局、10巡目。
トップ目の渋川は、選択を迫られていた。
渋川は36,700点のトップ目。
2着目の中田と11,700点差で、すでに南3局なことを考えると、あと1回アガればトップになる可能性は高くなる。
自身のアガリだけを見るなら当然1枚切れのを切るのだが、手拍子で切ることが許されないほど、既に場は煮詰まっていた。
この局、まず動きを見せたのが本田。
1巡目に切られた自風のをポンする。
本田は15,500点のラス目で、残り最短2局と考えると、できれば打点が欲しい状況。
そんな本田が1枚目、しかも1巡目のをポンしてきたということは、他家から見ると本田の手牌にはドラのがトイツ以上で入っていたり、ホンイツがハッキリ見えるなど、打点の種が揃っているように見える。
ただ、実際は赤が1枚あるだけの形が悪い苦しい手。
本田は2着目の中田と9,500点差で、もしこの局中田がアガるとオーラスに満貫ツモでも届かなくなるため、2,000点のアガリも受け入れる鳴きだった。
次に動きを見せたのは高宮。
5巡目に出た2枚目のをポンする。
高宮は22,800点の3着目で、本来安いアガリは意味のない立場にある。
例えば3,900点をアガったとしてもオーラス3着目と1,700点差の2着目で迎えることになり、他家の満貫ツモでも親被りで3着に落ちてしまうからだ。
そのため満貫以上のアガリが一番嬉しい。
トップの渋川とほぼ並びになり、3着目の中田に1,300-2,600ツモ条件、4着目の本田に跳満ツモ条件を突きつけることができるからだ。
ただ、ラス目の本田が仕掛けてきた以上、アガリを許してしまうと自身のラスの確率が上がってしまうため、速度を本田に合わせるためにから仕掛けた可能性もあるため、他家からすると高宮の仕掛けは打点が高いパターンも安いパターンもどちらも考えられる。
実際はドラのを引いたことで・チャンタ・ドラ2の満貫が狙えるようになったため仕掛けた、どちらかというと打点を意識した選択だった。
2着目の中田は、仕掛けこそ入れていないものの、高宮のポンに対して場に見えていないを切ったり、下家の本田に無筋の・・を押している。
実際の手は345の三色が見えるイーシャンテン。
渋川からすると、打点こそ分からないがある程度手がまとまっているように見えるだろう。
そして冒頭の10巡目を迎える。
渋川の手もイーシャンテンではあるものの、ドラ表示牌のが既に2枚切れており、全員が押してきていることを考えるととても勝負できる手では無い。
渋川以外の3人全員が押してきており、誰に高い手が入っているかが読み切れないことが非常に厄介だ。
この点差のままオーラスに突入すれば、下が競っているのでトップは大分安泰だが、間違って高い手に放銃してしまうとトップはおろかラスの可能性だって出てきてしまう。
この瞬間放銃しないことももちろん大事だが、ここからオリ気味に進行する場合は、より安全な切り順を模索しなければいけない。
一瞬のミスが着順ダウンに繋がりかねない状況。
渋川の選択は
だった。
渋川目線での河がこうなっている。
一見、守備的にイーシャンテンにとっただけのようにも見えるが、まず中田の現物であり本田も鳴いていないので2人にロンされることはない。
高宮に対しては中田がを切った後に高宮がを手出ししているので、高宮にはロンと言われる可能性はあるが、は3枚見えているので高宮が打点を作っていた場合に絡みそうなトイトイには当たることがない。
ドラのを2枚以上持っている待ちに当たるケースも当然あるが、先述の通り攻めている本田や中田が持っている可能性が高いので、相対的に高宮がドラのを複数枚持っている可能性が下がっている。
そして仮に高宮の手が安い手だった場合、マンズの下を持っていそうな河をしている。
→と切っており、マンズのターツがあるならもしくはのターツがあるように見える。渋川からは2mが3枚見えていることから、の可能性が高い。
渋川からすれば自分のアガリが見込めない以上、打点次第で高宮にアガってもらうのが一番いい。