愚直な本田朋広が 雷電ユニバース悲願の舞台へと切り拓く【Mリーグ2022-23セミファイナル観戦記4/25】担当記者:ZERO / 沖中祐也

このドラ【8マン】もプッシュ。瑠美だけでなく【6ピン】をチーした白鳥にも危険だが、本田に迷いはない。
「後悔だけはするな」と監督や瀬戸熊に念を押されているからだ。
結果的にアガれず、2000点の横移動となってしまったが、相変わらず本田のシンプルで愚直な攻めを感じることができる。

こうして瑠美と白鳥に届かないまま舞台はオーラスへと進む。

3巡目、早くも本田にテンパイが入る。

中点連結テンパイ。でもこれじゃない。
点棒状況を見ると、現状3着目だがハネ満のツモで2着になる。

本田は考える。

そして【1マン】切ってテンパイを外した。
狙いはもちろん【2マン】【3マン】を重ねての678の三色。

巡目が早く、リターンが大きいので打【1マン】の一手だとは思うが、ここまでストレートに打ってきた本田だからこそ、このテンパイ外しが際立つ。

そして今の本田の状態の良さを感じたのが次巡。

【4マン】をツモって何を切る。
678の三色にこだわるなら再度【2マン】【3マン】【4マン】【3ピン】【4ピン】【5ピン】を壊す必要があるが、本田が紡ぎ出した選択は…

【7マン】のテンパイ取り。
今度はタンヤオになったので、リーチ・ツモ・タンヤオピンフ・赤で、一発か裏ドラ期待になってしまうもののハネ満が目指せる。

またピンズが中点連結したことにより、ツモ【2ピン】【5ピン】【8ピン】【3ピン】【6ピン】【9ピン】)で三面張リーチが打てる。

【2マン】【3マン】【4マン】【3ピン】【4ピン】【赤5ピン】【6ピン】【7ピン】【8ピン】【8ピン】【6ソウ】【7ソウ】【8ソウ】

過去の自分の選択に縛られない、柔軟な選択だと言える。
直後に打たれた【8マン】を見逃し。
ラスになる可能性が限りなく低いので、貪欲にハネ満ツモを目指す。

そしてツモってきたのが…

【赤5ソウ】だった。
ピンフはつかないが、赤をツモってきたおかげでツモ裏条件はそのままだ。

【5ソウ】【8ソウ】待ちは見た目4枚残りと心許ないが、ソウズはほどよく切られていて悪くない。
ここらが決断のときか。

本田は十分に時間を使って、最後の選択を吟味する。
その様は、もう恐れも緊張もない。

そしてリーチに踏み切った。
本田がツモ山に手を伸ばす。
一発はない。

追われる白鳥は観念したかのようにオリ、ただツモってくれるなと祈りをささげる。

いつからだろう。
本田がこんなに頼もしくみえるようになったのは。

今にもツモって裏を乗っけてしまいそうだ。

そして最終盤だった。

頼もしい右手が【8ソウ】をたぐり寄せる。
裏ドラは…

なし! 2000/4000は3着のまま!

「8000点の素点を稼いでの3着も、今のチーム事情を考えると悪くないと思った」

試合後、飄々と語る本田。
雷電のファイナル進出、そして優勝争いとなれば、これまでにない盛り上がりをみせるだろう。その盛り上がりの立役者は、間違いなく本田に違いない。

手牌に合わせ、自分の思うがまま選択する本田に、さらなる活躍を確信するのだった。

──雷電ユニバースが5年待ち続けた悲願の舞台へ。

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