このドラもプッシュ。瑠美だけでなくをチーした白鳥にも危険だが、本田に迷いはない。
「後悔だけはするな」と監督や瀬戸熊に念を押されているからだ。
結果的にアガれず、2000点の横移動となってしまったが、相変わらず本田のシンプルで愚直な攻めを感じることができる。
こうして瑠美と白鳥に届かないまま舞台はオーラスへと進む。
3巡目、早くも本田にテンパイが入る。
中点連結テンパイ。でもこれじゃない。
点棒状況を見ると、現状3着目だがハネ満のツモで2着になる。
本田は考える。
そして切ってテンパイを外した。
狙いはもちろんを重ねての678の三色。
巡目が早く、リターンが大きいので打の一手だとは思うが、ここまでストレートに打ってきた本田だからこそ、このテンパイ外しが際立つ。
そして今の本田の状態の良さを感じたのが次巡。
をツモって何を切る。
678の三色にこだわるなら再度やを壊す必要があるが、本田が紡ぎ出した選択は…
打のテンパイ取り。
今度はタンヤオになったので、リーチ・ツモ・タンヤオ・ピンフ・赤で、一発か裏ドラ期待になってしまうもののハネ満が目指せる。
またピンズが中点連結したことにより、ツモや()で三面張リーチが打てる。
例
過去の自分の選択に縛られない、柔軟な選択だと言える。
直後に打たれたを見逃し。
ラスになる可能性が限りなく低いので、貪欲にハネ満ツモを目指す。
そしてツモってきたのが…
だった。
ピンフはつかないが、赤をツモってきたおかげでツモ裏条件はそのままだ。
待ちは見た目4枚残りと心許ないが、ソウズはほどよく切られていて悪くない。
ここらが決断のときか。
本田は十分に時間を使って、最後の選択を吟味する。
その様は、もう恐れも緊張もない。
そしてリーチに踏み切った。
本田がツモ山に手を伸ばす。
一発はない。
追われる白鳥は観念したかのようにオリ、ただツモってくれるなと祈りをささげる。
いつからだろう。
本田がこんなに頼もしくみえるようになったのは。
今にもツモって裏を乗っけてしまいそうだ。
そして最終盤だった。
頼もしい右手がをたぐり寄せる。
裏ドラは…
なし! 2000/4000は3着のまま!
「8000点の素点を稼いでの3着も、今のチーム事情を考えると悪くないと思った」
試合後、飄々と語る本田。
雷電のファイナル進出、そして優勝争いとなれば、これまでにない盛り上がりをみせるだろう。その盛り上がりの立役者は、間違いなく本田に違いない。
手牌に合わせ、自分の思うがまま選択する本田に、さらなる活躍を確信するのだった。
──雷電ユニバースが5年待ち続けた悲願の舞台へ。