次局、1シャンテンだった志岐が出来メンツからをチー、を切るとルール違反の食い変えになるのでを切る。これは門前進行よりも仕掛けてタンヤオにしてのアガリを見た格好だ。
この局のドラは、自分が安い仕掛けだとアピールすれば、しゅもや逢川がドラを持っているもののアガリが遅いという場合、アシストして試合を終わらせてくれることにもなるかもしれない。
意図を察したであろう逢川が、出来メンツからを抜く。
これを鳴いてテンパイ。
後のない早川からすぐにが打たれ、試合終了。最後は志岐と逢川がクレバーさを見せ、早川がここで涙をのむこととなった。
第4試合結果
1位:志岐祐大 +65.6
2位:しゅも ▲2.4
3位:逢川恵夢 ▲25.7
4位:早川健太 ▲54.2
準決勝の最終結果はこちら。上位4名が、6月3日・4日に行われる決勝へと駒を進めることとなった。
全対局終了後のインタビューで、一瀬は涙で前を向けなくなり、早川も言葉を震わせていた。その姿からは、IKUSAに対する選手それぞれの熱い思いが感じられた。
もちろん、それは佐藤や浅井、そして準決勝にたどり着けなかった数多くの打ち手も同様のはずだ。
麻雀打ちとしての誇り、自らへの応援、さまざまなものを力に変え、選手たちは卓につく。その思いが凝縮された決勝には間違いなく、麻雀の魅力が詰まっている。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。