歌衣は今日の試合の直前まで段位戦を打つなど、最近は特に麻雀の腕に磨きをかけようとしている。
その中で、自らが求められる「漢気」と、いわゆる牌効率のどちらを重視するべきなのか少し悩んでいるように見えた。
確かに、歌衣メイカという麻雀打ちならではの悩みかもしれない。
ただ、こと神域リーグでの麻雀に関しては、個人的にあまり迷わなくて良いのではないかと私は思う。
例えば今日の南3局。
確かにこの渋川のリーチを受けた局面で何を切るかと言われれば、を切って勝負する人も多いだろう。
しかし少し時を巻き戻してみれば。
やはとっておいて、他のターツに手をかける人も多いのではないだろうか。
因幡や渋谷がアガってくれるならそれで良い。
自分は放銃を回避する方向で手を組んでいく。といった具合だ。
しかし、歌衣はそれを是としなかった。
自らが進み、点棒を増やしてよりトップを強固なものにする方向を選んだ。
負けるとしても、後悔しないように。
麻雀というゲームは、同じシーンが訪れることはほぼない。
毎回毎回違った状況を迎え、その都度判断を求められる。
だからこそ、監督の村上や、その他上級者から教えてもらったことは素直に取り入れていって良いと思う。
知識が増えれば増えるほど、それは歌衣を支える「選択肢」という糧になるから。
そして迎えた局面1つ1つで、これまでの経験で得た知識を使いつつも。
歌衣メイカがどう感じるかで選択を変えるシーンは今後必ず出てくるはず。
その時初めて自分が思うように打って。
それだけで、誰に言われるまでもなく、歌衣の心の底にある『漢気』は、自然と見えるものなのだと思う。
例えば前節の第9試合のように。危険牌のを切って、カンでリーチを打ったように。
自分では漢気だとは思わない打牌であっても、その打牌には麻雀打ち歌衣メイカの魅力が詰まっているから。
チームの控室に戻ってからも、歌衣は早速監督である村上に打牌の是非を聞いていた。
その麻雀への姿勢が、歌衣の強み。
今回は今シーズン初のトップ獲得、とはならなかったが。
次こそは豪快奔放に麻雀を打って。
見ている全員が思わず笑顔になってしまうような。
そんなトップを、見せて欲しい。
最高位戦日本プロ麻雀協会47期前期入会。麻雀プロ兼作家。
麻雀の面白さと、リアルな熱量を多くの人に伝えるため幅広く活動中。
Twitter:@Kotetsu_0924