日本プロ麻雀連盟の菅原千瑛(すがわら ひろえ)は、6月に行われたMリーグ新規参入チーム「BEAST Japanext」のドラフト会議指名選手オーディションで優勝し、ドラフト指名を勝ち取った。6月30日のドラフト会議ではチームから2巡目で指名を受けた。オーディション優勝からドラフトまで、そして今の心境について、話を聞いた。
──オーディションで優勝してからドラフトまでの心境や、どのように過ごされていたかを教えてください。
待ち遠しかった気持ちが一番です。この時期は優勝したときにはなかった「優勝した」という実感がじわじわと湧いてきていた期間でもありました。
優勝してからはBSJapanextの生放送が毎週水曜日にありましたし、それに加えて連盟チャンネルの対局などもあり、仕事をしていたら1日が終わるようなあっという間の2週間だったのですが、仕事が途切れたタイミングとかで、Mトーナメントや自分のオーディションの試合などを全部しっかり見返していました。
自分の対局は反省点も多々ありましたし、何度も負けそうなところから奇跡的に親番をつないで勝ったのだと、改めて実感しました。特に最終戦は極限状態過ぎて、テーマに沿った打ち方ができていなかったかもしれないですし、今だったら違う打牌をして、もしかしたら勝っていなかったかもしれない、とも思いました。
──Mトーナメントなどを見ていて、自分がそこで打っている姿も具体的に想像できるようになったのではないでしょうか。
オーディション後というより、オーディションを受けると決めたときには「勝ったらあの舞台で」というイメージを頭に置いて戦っていたと思います。
──ドラフト会議はどこで見ていましたか。
自宅で、一人で見ていました。指名順は1番目ではないとは思っていたのですが、2番目とも思っていなかったので、2番目に呼ばれてびっくりしました。
──チームの高橋監督からは、ムードメーカーの役割も期待しているという話がありました。
「菅原プロは明るくて、チームのムードメーカーという部分になってもらえたら」と高橋監督がおっしゃっていましたが、正直「ムードメーカーとは?」って感じです(笑)。もし私の力でムードが明るくなることができるのであれば尽力したいとは思いますけど、いかんせん「ムードメーカー」と言われたのは初めてだったので、それもびっくりしました。
──チームメートになる予定のお三方についての印象はいかがですか。
実は結構面識がある3人だったので、私にとってはすごくなじみやすいと思いました。
最近だと猿川さんより奥様の(石田)亜沙己ちゃんや息子のしんちゃんと会うことのほうが多いんですけど、猿川さんとは昔一緒に仕事をしていた時期がありましたし、最強戦での猿川さんの試合とかも見ていました。あと、2016年に私が初めて麻雀最強戦のファイナルに進出したときに猿川さんと同卓しているので、対戦経験も全くないわけではありませんでした。
中田花奈ちゃんは第1期桜蕾戦のベスト16で同卓していますし、RTDガールズトーナメントでは決勝で戦った相手です。女流プロの番組収録とかでもお会いして話したこともありますし、「chun.」さんにも遊びに行ったこともあります。
鈴木大介さんとは麻雀最強戦の調整セットや、棋士の方々と麻雀を打たせていただく場でご一緒したこともありました。ちなみに、将棋は駒の動かし方が分かるくらいですけど、ABEMAトーナメントとかを見て楽しんでいました。
──改めて、指名を受けての心境をお聞かせください。
新井啓文プロからは「千瑛ちゃんが活躍しなかったら浮かばれないし、絶対に活躍しろよ」とおっしゃっていただいていましたし、決勝を戦ったメンバーは相手をたたえる気持ちや言葉など、本当に器が大きい人たちだと思っています。啓文さんや浅井堂岐さんからはドラフトで指名された後にも「おめでとう」とメッセージをいただきました。本当にありがたい気持ちと、決勝で破ったライバルたちの悔しさとかも背負って、Mリーグという舞台でしっかり戦っていかなければいけないと、身の引き締まる思いでした。
そして、私のことを応援してくださるたくさんの方々もいらっしゃいます。本当にいろんな思い、気持ちを背負って、麻雀プロの憧れの地、Mリーグに立つことになります。まだスタジオに行ったこともなくて、未踏の地に行くので緊張はすごくありますけど、早く慣れてしっかり戦えるようになりたいですし、空気に飲まれたりしないように、とか、いろいろ考えています。それと共に、これまで見てきたMリーガーたちと実際に対戦するのが楽しみでもあるので、その時にしっかり自分の麻雀を打ち切れたらいいなと思っています。
──これまで応援してくださっていた、そしてこれからも応援してくださる方へのメッセージをお願いします。
応援してくださる皆様の一言一言が、とても私の力に、そして励みになっています。まずは本当に「ありがとうございます」という気持ちです。そして新チームということで、もちろん既存のチームのファンの方もたくさんいらっしゃると思いますが、BEAST Japanextを、私を含めチームメンバー4人の麻雀を応援してもらえたら本当にうれしいなと思っています。引き続きの応援をどうぞよろしくお願いします。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。