【 #神域リーグ2023 セミファイナル第2試合観戦記】復活の天開司　地獄の底で燃え上がった炎は　グラディウスを導く燈火となる【文 #後藤哲冶 】

これを切り飛ばす。
ツモれば倍満の超ド級テンパイ。勝負を決めてやるという天開の闘志が、伝わってくる。

アガりこそできなかったが、親に打てばトップから落ちるところを、強気に攻めていったという事実が、天開の気迫を証明している。

天開がトップを維持したまま、第２試合は南場へと突入する。

桜が迎えた、最後の親番。

「気持ちで負けてないよ、大丈夫」

自らを鼓舞するように、桜がそう口にした。
この親番は、是が非でもアガリが欲しい。

しかし、桜にとっては厳しすぎる或世からの早いリーチ。
しかしそれでも、桜は必至に押していく。通ってない牌を切り飛ばして、自らのアガリを模索する。

それでも、届かない。
踏み込んで来た勝の2000点のアガリで、桜の親番が落ちてしまった。

「親番終わった……いや、まだある……大丈夫」

最後まで諦めない。ゼウスの皆を信じて、桜も最後まで戦う姿勢を崩さない。

南２局

親番を迎えた天開に、大物手が入っていた。
三色ドラ１のイーシャンテン。そしてそこに、桜からが放たれる。
チーすれば、三色のテンパイだ。

しかし、天開はこれをスルー。
欲しいのはチーしての2900ではない。あくまで、メンゼンで仕上げての12000クラス。

勝からのリーチが入った瞬間に、天開もテンパイ。
現物のを切れば、三色が消える代わりに、高目イーペーコー。
を切れば、三色が確定し、どこからアガっても12000だ。

今日の天開は終始一貫していた。強気の切りリーチ。
チーをスルーしたのも、全ては高く仕上げるため。グラディウスのファイナル進出を決定付けるべく、債務者が邁進する。

しかし桜もまた、虎視眈々と機会を伺っていた。
２件リーチにギリギリまで踏み込んで、見事テンパイを組んだ。もう退路は無い。
ここはリーチで追いかける。

これを、天開から討ち取った。
裏が乗らず2600点ではあるものの、リーチ棒も含めて価値あるアガリ。
自分が着順を上げられなくとも。少しでも点数を増やし、グラディウスの点棒を減らすことが、ゼウスのファイナル進出に繋がると信じて。

南３局に、勝が或世から12000を討ち取って、２着に浮上。トップの天開の背中も見えてきた。
南３局は１本場へ

トップを決めるには、この勝の親を終わらせるしかない。
しかし、桜は都合上、勝がトップになったほうが良いため、安いアガリは期待できない。
となれば基本的には、自分で向かうしかない。

勝からが出て選択。
ソーズ３４５６のくっつきと、という３面張があることを考えれば、メンゼンでも十分に仕上がりそうだが。

天開は、前に出た。ポンしてのテンパイ。
もうが３枚出ており、も決して最高の待ちではない。
親は落ちた。ならば、点数は安くても一刻も早くテンパイをとっておくことが、トップに繋がる道。

「流せ親……流せ……！」

トップに立ってから、長かった。
一局一局が、重く天開にのしかかった。