【 #神域リーグ2023 セミファイナル第2試合観戦記】復活の天開司 地獄の底で燃え上がった炎は グラディウスを導く燈火となる【文 #後藤哲冶 】

静かに、目を開いて。

「……リーチ」

小さく呟いたそれは、覚悟の言葉。
何度打ちのめされたかわからない。
暴力的なまでの、麻雀の理不尽を受けて尚、債務者は再び立ち上がった。

「きた……ロン」

勝から【4ソウ】が出たその瞬間……天開は噛み締めるように呟いた。
裏が1枚乗っての7700は、大きな加点。これで天開がトップ目に立つ。

東2局1本場は、天開から或世への放銃となってしまったが、ライバルであるゼウスの桜がリーチを打っていたことを考えれば、これは最悪の結果ではない。

東3局

この配牌をもらって、天開は【4マン】切りを選んだ。
ドラの【7ピン】を引くならばリーチ、ソーズが伸びるならホンイツ
どちらの可能性も、残した一打。

一方、負けられない桜は、トイツが多い手牌になっていた。
一見、いらないのは【8マン】だが……

「(【8マン】は)みんな捨てそうなんだよな……」

チートイツになったときの【8マン】の重なりやすさと、下家の天開がソーズを多く持ってそうなことから、【4ソウ】をリリース。

これに食いついたのは、【8ソウ】をポンしてホンイツへ舵を切った天開だった。
これでホンイツのイーシャンテン。

先にテンパイが入ったのは桜だった。
狙いを定めていた【8マン】単騎で、リーチ宣言。【8マン】は山にしっかりと2枚残っている。
素晴らしい山読み。

困ったのは、手牌が短くなっていた天開。
無スジの【5ピン】を掴んで、【南】を打って回る選択。
この時、【西】ではなく当たりにくいトイツの【南】を選んでいるのも天開の雀力の高さを物語っている。

そうして回っていた天開に、転機が訪れる。
【5ソウ】【6ソウ】を立て続けに引き、チンイツのイーシャンテンになっていたところで、リーチ者の桜から【7ソウ】が出た。
これをチーして【5ピン】を勝負すれば、12000の【3ソウ】【6ソウ】テンパイ。

【5ピン】は、ダブル無スジの危険な牌だ。しかも相手は、敗退を争うライバル、ゼウス。

……緊張を抑える込むかのように、再び天開が息を吐いた。

天開は勝負に出た。
【5ピン】が通る。あとは、【3ソウ】【6ソウ】【8マン】の引き合い。
【8マン】が1枚減って、残り枚数は1対1。五分の勝負だ。

天開は地獄の底で、何度もこういった勝負で放銃してきた。
リーチを打っては掴み。
勝負手で押しては放銃し。
例え自分が枚数有利なめくり合いでも、勝つことはできなかった。

悔しさに、虚しさに。天を仰いだ回数は数えきれない。

それでも、いつかこの地獄を這い出て、日の光を浴びる日を信じて。
天開司は何度も、何度も勝負する道を選んだ。

そうして地獄の底で燃え上がった闘志の炎は――

――グラディウスを導く燈火となった。

値千金の12000。
ゼウスからの直撃で……天開は理想的なトップラスの着順を作り出すことに成功。

東4局も天開は止まらない。

親の或世からリーチを受けるも、天開はメンゼンチンイツのテンパイ。
出ていくのはドラの【中】だが。

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