熱論!Mリーグ【Tue】
「アサピン・アイ」発動!
朝倉康心しかできない
オーラスの鳴き判断
文・渡邉浩史郎【火曜担当ライター】2019年12月17日
9月30日の開幕からおよそ2カ月半、気づけば今年もあとわずかだ。いつの間にか「まだ序盤」という常套句も聞かなくなり、各チームともスケジュールの半分を消化している。
Mリーグは12月20日の試合をもって1月6日までお休みとなる。最近のMリーグは大荒れ模様だが、ここを上手くまとめ上げて新年を気持ちよく迎えたいのはどのチームも一緒だ。
本日1戦目は小林剛がトップ。悪夢の四暗刻単騎、そして翌日の2連続ラス……と大時化に巻き込まれていたU-NEXTパイレーツだったが、息を吹き返すトップだと言えるだろう。6位の勝ち上がりラインも目の前に見えるところまできた。海上で拝む初日の出はさぞ綺麗なことに違いない、このきっかけを手放さずに水底から一気に浮上してしまいたいところだ。
ここで小林からバトンを受け取ったのは朝倉康心。
2戦目はこの正念場を託された朝倉に注目していきたい。
2回戦
東家 和久津晶(セガサミーフェニックス)
西家 朝倉康心(U-NEXTパイレーツ)
北家 佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
【東1局】
開局から難しい手が入る。
5巡目の朝倉の手牌がこちら。ドラドラだが面子がなく、良形も少ない。ツモで四対子になり、七対子も視野に入ったか。
ここはひとまず打とした。は少し場況がよさそうに見えるものの、所詮は一枚切れ。まだ七対子には決めずに後の変化を見た形だ。
次巡持ってきたのは。ここは……
を残して打!
ここでほとんど七対子に決めた形だ。を切った前巡との違いは何だろうか。
まず一つ言えるのは勝又の河だ。
前巡までの段階ではまだ勝又の手のスピードは不明だったが、ここで手出しが入ったことにより、前巡を引いた以外は面子落としをしていることになる。
勝又の打ち筋を知っていれば、こういった進行をしているときの勝又が遅い高打点、今回でいえばソウズの一色手を狙っているということが分かるだろう。
その上で朝倉の手を見てみよう。面子手として進めた場合、ソウズの部分にカンやカンなど大きなネックを抱えている。
勝又が遅いソウズの一色手を狙っていると分かった今、同じソウズにネックを抱えた面子手と七対子の天秤をするよりは、ソウズを打ち出していってピンズとマンズに重なりを求めた七対子一本の方がいいだろう。幸いなことに自分が勝又の下家なので、ソウズを打ち出した際に鳴かれるリスクはあまり考えなくてもいい。
そしてもう一つ前巡のと異なっている点としては、は場況がいいだけでなく生牌であるということがあげられるだろう。
あがるにしてもテンパイしないことには始まらないため、2シャンテン以下の七対子で残す牌を選ぶ際には、まずは出あがりのしやすさよりも重なりやすさを重視したい。
も場況がよかったとはいえ一枚切られている牌であり、最大で二枚しか山に存在しない。
一方では寿人や和久津の切り出しからも絶好に見える、山に丸々残っていておかしくないだろう。
となるとかの選択となるが、改めて画像を載せるが、朝倉はここから打を選択した。
七対子で残す牌の選び方の一般論として、他家に使われにくい・余り易い字牌や端牌を持っておき、他家が使いやすい(順子の構成に絡みやすい)37牌は持たないほうがいいとされる。
ではなぜ朝倉はこの手牌からを切らずにを切ったのだろうか。
答えは和久津の河にある。
和久津の河は2巡目に手出し、3巡目にツモ切りである。ソウズの下を複数枚持っていることは少なそうだ。
どのみち勝又がソウズ模様なのでソウズは全部切ることになりそうだ。しかしたとえ微差の選択でもきちんと牌を比較して、優劣をつけて常に見えている情報から最善の選択をする。これが朝倉の麻雀の醍醐味ではなかろうか。
狙い通りを引き入れてイーシャンテン。ここでもしっかり打。
そして比較した通りにも引いてテンパイ。ここでは少し悩んだが単騎とした。
単騎の方が瞬間親の和久津からリーチが入った時に通りやすそうなこと、親の和久津をケアしたときに出やすそうなことなどがあるが、の場況の良さ、自身の目から見てとのワンチャンスで他家に使われにくいなどといったことを優先した形だろうか。
を引いてきて待ち変更。こちらも山にはいそうだ。瞬間の枚数を重く見た待ち変更か。
これが和久津の宣言牌を捉える。6400の加点だ。