「天鳳×Vtuber杯チーム対抗戦2022」、第3試合は「Vtuber枠」。麻雀配信で活躍している4名のVTuberによる戦いである。4名がそれぞれに楽しい麻雀配信を行っているだけに、勝ち負けはもちろん、楽しい戦いを期待したい。
第3試合
東家:朝陽にいな(チームいばらぎ) +63.1
南家:鴨神にゅう(チーム太くないお) +11.6
西家:ざき(チームうしさん) +36.0
北家:ルイス・キャミー (チームあさぴん) ▲110.7
東1局。鴨神がカン2m待ちリーチをかける。朝陽、ざきは撤退するも、ルイスはテンパイをキープしていた。ハイテイで引いてきたのは4s、両無スジの超危険牌である。
少考の末、ルイスは押した。ここで1牌押してテンパイ料をもぎ取るのが、後の展開を有利にすることをルイスは知っている。チームも劣勢、ここで起爆剤となりたい思いは強かったはずだ。
東2局2本場。
ルイスの配牌は何の変哲もない凡手だった。赤もドラもなく、ホンイツこそ見えるものの、鴨神はともかく朝陽やざきと比べれば確実に見劣りする。
を引くと、直後のをポン。ホンイツに一歩前進といったところだが、この時点で気配は感じるだろうか。
を引き、切った中をざきが鳴く。
ツモ。まさかの伸びで、なんと緑一色1シャンテンまでたどりついた。しかも、緑一色はやなどが受け入れに残って崩れる形になりやすいが、今回はかなり受けの形がいい。を入れてのテンパイならで3分の2が役満、引きやチーなどできようものなら確定の緑一色テンパイとなる。
引きで、いったんは5200のテンパイ。ただ、ざきのはロンせずチーして緑一色テンパイに受け変えることも可能だ。
ツモってしまった。だが、ルイスの動きが止まる。自動アガリではなく、きちんと自分で判断することを考えていた、ということだ。夢を追うのか、実利を取るのか。
この1300-2600をアガれば、いったんは鴨神をかわしてトップ目に立つ。一方で、このチャンスを逃せば緑一色なんていつアガれるか分からない。打点的破壊力も十分過ぎる。もちろん、アガらない選択もあったはずだが、迷った末に、怪盗は目の前の利を取った。
だが、その後のルイスには逆風が吹いた。鴨神の逆転を許すと、南2局、チートイツのリーチをかけたところにざきの三色確定リーチを受け、一発放銃。ラス目に落ちてしまう。
南3局、ざきが待ちのチートイツでリーチ。ルイスからはノーチャンスでいつ打ち出されてもおかしくない牌ではあったが、ルイスは愚形テンパイを拒否して4連形を生かす形にこだわることで放銃を回避する。
構想通りマンズを伸ばしきり、フリテンとはいえ待ちでリーチをかけるが、一発で引いてきたのはざきのロン牌、これが最後の1枚だった。
オーラスの親番では起死回生の6000オールをツモって大きく加点をするも、最後は鴨神が逃げ切り。ざきが2位に滑り込み、朝陽は見せ場を作れず悔しい4位で試合を終えた。3位で試合を終えたルイスだったが、見ているものに強烈なインパクトを残したのは、やはり彼女ではなかっただろうか。
■順位
1位:鴨神にゅう(チーム太くないお) +50.5
2位:ざき(チームうしさん) +16.8
3位:ルイス・キャミー (チームあさぴん) ▲11.6
4位:朝陽にいな(チームいばらぎ) ▲55.7
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。