対局が始まってすぐに、因幡はねるは、こう話した。
「私あんまり緊張しないんだけどさ…
ドキドキしてるもん今、珍しく」
3試合目
東家:風見くく(チームアトラス)
南家:鈴木たろう(チームゼウス)
西家:因幡はねる(チームグラディウス)
北家:松本吉弘(チームヘラクレス)
はねるの鼓動が早くなるのも無理はない。
なぜなら、
この試合が、チームグラディウスのレギュラーシーズン最終戦だからだ。(10節は抜け番)
そして、セミファイナルを残しているとはいえ、非常に厳しい位置にいるグラディウス。
ファイナル進出ボーダーの4位に入るためにも、ここは落としたくない。
いや、落とせない。
東1局、はねるは、
いい形のイーシャンテンになっていた。
これが、
テンパイしないまま、対面くくのリーチを受け、結局は下家の松本のアガリとなる。
参加させてもらえない。
次の局、
「フゥ…」
胸の奥からあふれるのは、深いため息と、
「、鳴かせて…」
という切実な想い。
だが、麻雀牌に心はない。
願いは聞き入れられず、
形が整う前に、親のたろうからリーチがかかる。
「いやー、キツい…」
という声とともに、
はねるは、で迂回した。
そう、「迂回した」だけ。
まだ、諦めていない。
たくさんの牌が並べられていった、最終盤に、
はねるはテンパイを果たす。
残りツモは、1回。
出ていくは、危険牌。
はねるの気持ちは、固かった。
「こんなの、オリてらんないぜ…!」
俺たちの因幡はねるは、リーチをするに決まっている!!!
一発&ハイテイのツモは、
ではなかった。
流局。
⸺あと1牌が遠い。
東2局2本場に、
ドラのが重なった、いい手が入るも、
「は??」
あまりにも早いたろうのアガリに、はねるの本音が溢れ出た。