⸺アガれない。
親番で、

先制リーチを放つも、
「はぁいいぃぃ???」

かつての監督、またの名を「昔の男」松本にすぐさま追っかけられ、

めくり合いに負けてしまう。
⸺苦しい。
なんとか活路を見出したいはねる。
南1局は、

得意のホンイツで仕掛けていく。
点数状況としても、

親に連荘されたくないと思っている上家のトップ目たろうが、マンズをアシストしてくれて、

はねるはリャンメンテンパイを入れていた。
流局間際に、

カン材のを持ってきた。
もちろん、

カンだ。
「ロン」
裏切りの時は、突然訪れた。

はねる「は???」
味方だと思っていたたろうが、

テンパイを入れていたのだ!
しかも役は、役満より珍しいとさえ言われる、「槍槓(ちゃんかん)」。
他家が加槓(読み方「かかん」すでにポンしている牌を持ってきてカンすること)したときに、その牌が待ちになっていた場合につくアガリ役だ。
だが、グラディウスは「わぁレア役だ」と言っている余裕などない。
南3局の親番、

はねるは先制のリャンメンリーチを放つ。
そこへ、

またもや、松本が追いかけてくる。
なんとなく、結末が予想出来たかもしれないが、

ツモアガったのは松本であった。
オーラスも、

逆転手のテンパイから、

リーチ宣言牌、ドラのがたろうに刺さり、放銃に終わる。
はねるは、

-3600点の4着でこの試合を終えた。
麻雀は楽しいゲームだ。それは間違いない。
麻雀は残酷なゲームだ。それも間違いない。
選手の口から聞いたことがあるが、「神域リーグの負けは心にくる」そうだ。それは、我々見ている者の想像を遥かに超える、しんどさ、重さであろう。
そんな憂鬱を抱えながら、

「もうやだよーーー!!!!人生終わった()」
はねるは努めて元気にインタビューに答えていた。
負けても腐らず、なるべく明るく、思いを発散しつつ、