牌だけが繋ぐ恋人たちのLINE 園田賢と渋川難波の心焦らす駆け引き【須田良規のMリーグ2023-24セレクト・9/18】

これは、【3マン】が場に2枚切れであるためにションパイの【4マン】単騎から【3マン】単騎には変えないだろうという読みだったのだ。

渋川の【9マン】単騎は、渋川が打【4マン】のその1巡に、園田にアンコで残り1枚の牌を引いた事象でしか起こり得ない待ちだ。
しかし、そんな平面上の低い確率に園田は決して甘えなかった。

そして渋川は諦めたように【9マン】を離す。
園田から出ないのでは、この【9マン】待ちではアガれない。
2枚切れだが【9ピン】単騎に変えるしかない。

それを見て、園田はこの夜かわされた、お互いの心を探り合うLINEを終えるように、【9マン】を合わせる。

「園田さん、【9マン】アンコからでしょう、切ってください」
「渋川、単騎待ちだよね、切らないよ」
「止めたんですか」
「そうだよ──」

それは、牌だけが紡ぐ言葉で、お互いがお互いを尊重し、認め合う恋人たちのような会話だった。
口にせずとも、それぞれが思いの丈を牌に落として、心を焦らす遣り取りをするのを私たちは見た。

今年も、牌に魅せられて牌だけで繋がる恋人たちの新しい季節が始まった。

これから繰り広げられる、筋書きのない数多の心震わせる群像劇を──、
また皆さんと一緒に楽しみたいと思う。

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