789の三色が見える手牌。ラス目なので高打点を狙いたいところだが、2枚目のが出てポン。・三色・ドラの3,900点ルートに切り替える。
そしてすぐにテンパイ。
カン待ち。安目を引いてのテンパイだが、すぐにを引き3,900点になる。
そこへ菅原からリーチがかかる。
・のシャンポン待ち。赤が2枚でツモればトップ戦線に加わることができる。
リーチ一発目に瀬戸熊は全く通っていないを引くが…
お構いなしにツモ切る!
同巡、親番の園田がテンパイを入れる。
平和・ドラ2の待ち。
リーチすれば12,000点になり、試合を決めるアガリとなるが、が3枚場に出ており菅原の現物になっているため、を切ってダマテンを選択。
次巡、園田が引いたのは無筋の。
気配を消したことで現物のが打たれることを期待していたが、無筋のを切ってしまうと期待できなくなるだろう。
勝負手のテンパイが入っているものの、トップ目なこともあり園田はこの局面でオリも考えていたという。
ただ既にを切っていることからを使い切っての復活も難しく、試合を決める打点が伴っていることから、園田はのツモ切りリーチを選択する。
園田の打点は12,000点、菅原は5,200点以上が確定している。
直後、瀬戸熊が引いたのは2人に通っていないだった。
このは考えれば考えるほど厳しい牌だ。
菅原に通っている筋の本数は10本で、リャンメン待ちだと仮定すると8分の1で放銃する牌。
園田に通っている筋は8本だが、園田の河に→と並んでいわゆる間4軒になっており、マンズ待ちだった場合はが本線に見える。
瀬戸熊の手には2人の共通安牌がないが、しいて言えば菅原に通っていて園田の中筋になっているがある。
時間をかけて考えれば考えるほど、オリが頭をよぎりそうだ。
しかし瀬戸熊はを豪快に叩きつけた。
これには実況席も感嘆の声を上げる。
自身は3,900点のカンチャン待ちなので、少しでも弱気になれば切れる牌ではない。
決着はすぐに訪れた。
園田がを掴んで瀬戸熊に放銃。
当然瀬戸熊がオリていたら生まれていなかったアガリで、このアガリがなければトップ目の園田の追加点、もしくは3着の菅原にリードを広げられていたかもしれない。
このプッシュに痺れたという声がSNS上で非常に多く、この局面の思考をぜひ聞いてみたいと思った。
そして冒頭のLINEに繋がる。
もちろん完全安牌が無いという要素はあるとして、園田のリーチが現物待ちと読んだとすると、は菅原だけに勝負する牌になり、押しやすくなったのではないかと考えていた。
数分後、瀬戸熊から返信があった。
同じ選択になったと思います。
もともとあそこの局は、きっかけ作りに行きました。
アガりが何よりその後の展開を変えると思ってましたので、だいぶ押すつもりでした。
ツモ切りリーチから、菅原さんの現物の可能性あるなとは思いましたが、点数的には行かなくてもいい所なので、確信があったわけではなかったので、そこまで読み切れてはいなかったです。
こちらこそ、質問して頂きありがとうございます。
記事楽しみにしてます。
0:46
対局裏インタビューや他選手の検討配信を見てから質問したため、送信したのは0時40分と深夜になってしまっているが、それでも数分でこれだけ丁寧な返信をしてくれる。本当にありがとうございます。
瀬戸熊の言葉をそのまま借りると、あの局は「きっかけを作る局」だったとのこと。
瀬戸熊はトッププロの中でも自分や相手の状態、いわゆる流れを意識して戦っている選手だ。ここで出ているきっかけとは、それまで続いていた悪い流れを変えるきっかけという意味だろう。
麻雀に流れはあるのか__
麻雀について様々なデータを見ることができるようになった昨今、昔に比べて否定的な意見をもつ人が増えているのかもしれない。