「きっかけ」を作るため__
南1局の攻め、
瀬戸熊に真意を聞いてみた
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2024年1月29日
第2試合
東家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
南家:渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:菅原千瑛(TEAM雷電)
北家:瀬戸熊直樹(TEAM雷電)
Mリーグ2023レギュラーシーズン146試合目。
この観戦記を書くにあたり、私は1本のLINEを送った。
本日観戦記を担当させていただくのですが選択について1つ質問させていただきたくLINEさせていただきました。
南1局のプッシュについて、園田さんがツモ切りリーチだったかと思いますが即リーチでも選択は同じでしたでしょうか?
園田さんがツモ切りリーチだったため、菅原さんの現物待ちと読んだのかと思い見ていました。遅い時間のご連絡申し訳ございません。お時間があればで大丈夫ですので教えていただけると嬉しいです。
0:41
送信先は本日出場したTEAM雷電の瀬戸熊だ。
これまで瀬戸熊について観戦記を書いたことは何度かあるが、試合中の選択について記事で取り上げたい時、このように連絡させていただいている。
対局が終わった後なので当然疲れていると思うが、瀬戸熊からは毎回丁寧な返答が届く。本当に毎回感謝してもしきれない。
激戦となった第2試合。
最後までトップの行方がわからなかったこの試合は、オーラスの劇的な展開で幕引きとなった。
オーラス突入時、トップ目は園田で40,000点。
追いかけるのは2着目の渋川とオーラス親番が残っている3着目の瀬戸熊。
4着の菅原は3着の瀬戸熊を逆転するには倍満ツモが必要と着順アップが難しく、できれば少しでも加点して終わりたい。
最初にテンパイを入れたのは渋川で、・待ちで、ツモれば無条件に、出アガリなら裏ドラ1枚でトップになる手。
直後、菅原が七対子のドラ単騎でテンパイを入れ追いかけリーチをかける。ドラをツモって裏が乗ればなんと倍満ツモ条件を満たし3着に浮上する。
めくり合いを制したのは菅原。
最後のドラを渋川が掴み放銃。
しかもなんと、裏ドラが2枚乗ったことで渋川は3着に。
ツモってきた牌が同じく山に1枚あっただったらトップだったことを考えると、実に上下80ポイントが変動するめくり合いだったことになる。正に痛恨の放銃だった。
渋川が無念の3着となり、園田がトップを守り切って終局となった。
トップを守り抜いた園田と同じく、展開に恵まれたのが瀬戸熊だった。
瀬戸熊はトップまで16,300点差の3着目で、親の満貫をツモればほぼ並びになる状況だったが、自身のテンパイする牌が脇に流れ、2件リーチも入り連荘が厳しくなっていた。
カンとは山に3枚残っていてツモはあと5回。
アガリとまでは言わずともテンパイはなんとしても入れたいところだったが
テンパイする前に渋川がを掴み放銃。
この裏2が非常に大きかった。
裏ドラが乗らず、8,000点の横移動だったら渋川は2着のままだった。しかし裏ドラで12,000点になったことで渋川は3着になり、瀬戸熊はアガらずに着順アップに成功。
跳満を出アガリした菅原は12,000点+渋川のリーチ棒1,000点で合計13ポイントを加点することができた。
対して瀬戸熊は着順が3着から2着になっているので-10から+10になり合計20ポイントのプラス。
なんとアガリを決めた菅原よりもアガれなかった瀬戸熊の方が得をしているのだ。
1戦目は中田が今シーズン初のトップを決めた裏で、萩原が痛恨のラスとなり雷電とBEASTの差は45.3ポイントまで縮まっていた。
下手すると1戦で順位が入れ替わる状況だったが、瀬戸熊の2着でなんとか踏みとどまったと言えるだろう。
実は南場に突入した時点で、瀬戸熊は11,400点のラスだった。
そこから4局で2着まで浮上したわけだが、明らかに風向きが変わったのは南1局だった。