南2局、親番での選択__ 松本吉弘が語った、 最大の反省点とは【Mリーグ2023-24観戦記 2/12】担当記者 #江崎しんのすけ

打点は1,000点として待ちはどうだろうか。
猿川は【東】をポンしたときに打【8マン】としている。

この場合【8マン】周りを対子で持っているケースが多く、例え【6マン】【6マン】【8マン】【東】【東】と持っていて、打【8マン】としたように見える。その場合【6マン】を跨ぐ筋が否定されるので、マンズ待ちは殆ど無さそうだ。

そして先ほどの読みから【3ピン】【4ピン】【5ピン】と持っていることになるから、【3ピン】【6ピン】などピンズ待ち出てくる可能性も低い。

そうなると残りはソーズで【2ソウ】【5ソウ】【3ソウ】【6ソウ】の2つになる。
実際の猿川の手は

松本の読み通り【3ソウ】【6ソウ】の1,000点だった。

「ハッキリ言ってここで打ちにいかないのは甘いですね」

一番の反省ポイントとしてそう話していた松本。
テンパイ料での加点は1,000点~3,000点なので、アガリと比べて派手さはないものの、試合展開次第に影響することも多い。

この一人テンパイの後、南3局1本場では

流局となり今度は松本の一人ノーテン。
またしても猿川と松本の点差は4,000点縮む。

この2局で猿川はアガっていないし松本も放銃していない。それなのに2局のテンパイ料だけで8,000点差縮まっているのだ。

さらに続く南3局2本場では

3着目だった渋川が満貫をツモ。
南2局のときは29,200点も離れていた渋川が、オーラス突入時には14,400点差と跳満ツモで逆転する点差まで追い上げていた。

渋川は跳満ツモで逆転トップ、猿川はアガリ止めこそ無いものの9,000点差なので2,600オール以上をアガれば一旦トップと、勝負の行方は分からなくなっていた。

そしてオーラス、親番の猿川が先制リーチをかける。

待ちは【1ピン】【4ピン】【4ピン】ツモなら2,600オールとなり一旦松本を捲る。

猿川のリーチに応戦するように、松本も仕掛ける。

西の後付けを鳴いて【6ピン】【9ピン】待ちのテンパイを入れる。
猿川にツモられたとしても逆転されるため、この局松本に撤退の選択肢はない。

当たり牌を掴んだのは松本だった。
【1ピン】をツモ切り猿川への放銃となる。

裏ドラは乗らず、リーチ平和の2,900点。
放銃にこそなったものの、打点が安く逆転には至らない。

猿川もあと1歩のところまで追い詰めるが

続く1本場にて松本が自らアガって逃げ切る。
ボーダー争いから大きく抜け出す、個人7勝目を獲得した。

オーラスは松本がひるまず攻め続けたことにより自力決着となったが、
もし猿川への放銃に裏ドラが1枚、または【1ピン】ではなく高目の【4ピン】だった場合、その後の展開も大きく変わっていた。

3着目だった渋川は跳満ツモ条件を作るために、テンパイを何度も取らずに手を作っていた。
もし松本が猿川に5,800点を放銃していた場合、渋川の条件は満貫ツモになっていた。

満貫ツモで良いのなら最初のテンパイでリーチをかけていた可能性が高く、そうなると放銃できない松本はオリることになるので、最後のアガリは発生しなかったかもしれない。

それどころか、猿川が微差で松本を逆転していることになるので、渋川がツモった場合松本が3着で終局する未来もあり得た。

改めてではあるが、麻雀は1牌が左右する結果がなんと重いゲームだろうか。並べてある牌を操ることはできないが、だからこそ麻雀プロはできる事はどんなに微差でも追及する姿勢が求められる。

道中危機はありつつも、松本が持ち帰った大トップによりアベマズはポイントを83.8ptまで伸ばし、ボーダーの風林火山とのポイント差は350。一見350ptと聞くと大差に聞こえるが、残り試合数は22試合で1試合のトップラスで80pt動くことを考えるとまだ油断は許されない。

松本吉弘は麻雀プロであり、微差を積み重ねていった先にしか勝利がないことを知っているからだ。

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