魔王 #佐々木寿人 とシンギュラリティ #渡辺太 2人が選んだ、テンパイまでの道筋【Mリーグ2023-24観戦記 3/11】担当記者 #江崎しんのすけ

その後【8マン】【赤5ソウ】と引いて形・打点ともに跳満のイーシャンテンになる。
フリテンだった【1ピン】【4ピン】も解消でき、いよいよ勝負手に。

直後、岡田から切られた【5ピン】をポンしてカン【7マン】待ちのテンパイに取る。

この【7マン】は山に1枚しかいなかったが次巡あっさりツモ!
僥倖の3,000-6,000で大きなリードを築いた。

山に1枚しかいなかった【7マン】をツモれたのは運でしかない。
この試合、4人テンパイとなった南2局1本場でも太は山に1枚だけ生きていたアガリ牌をツモり、2件リーチを搔い潜る局面があった。

親番寿人の仕掛けに対し、安全にテンパイが取れるルートを探し、リーチが入った後も危険牌を掴む前にアガり切ることができた。

太にとって、総じてラッキーが続いた半荘だったと言えるだろう。

しかし、そもそもテンパイしていなければラッキーを享受する機会すら、本来は存在しなかったことになる。

最後の一牌こそラッキーだったものの、アガリに至るまでの仮定は決してラッキーではなく、太オリジナルのアガリだったと言える。

太は跳満・4人テンパイを制する1,000-2,000など見せ場を多く作ったが、3度の放銃が響き2着。この試合トップを取ったのは寿人だった。

決め手になったのは東4局
太と同様に、テンパイまでの選択が見事な局だった。

8巡目、イーシャンテンだった寿人は受け入れが増える【赤5ピン】を引く。
テンパイまでの受け入れが一番多いのは打【4ピン】だが、寿人は打【9マン】を選択。

【4ピン】とした場合の受け入れ枚数は10種 32枚、対して打【9マン】の時の受け入れ枚数は7種 25枚と7枚の差がある。

しかし打【4ピン】の場合は最低打点2,600点、上手くいけば8,000点なのに対し、打【9マン】は最低5,200点が確保され8,000点になるパターンが多い。

多少の受け入れは犠牲にしつつ、打点を確保することでアガったときのリターンを大きくする一手だ。

結果、ドラの【9ソウ】が入り【3ピン】【6ピン】【4ピン】待ちでリーチ。
テンパイを入れた親の岡田から【6ピン】を出アガり8,000点の加点となった。

【9ソウ】の前に【7ソウ】【7マン】と引いていたので、打【4ピン】としていても恐らく寿人のアガリだった。しかしその場合打点はリーチ・ツモ・赤の1,000-2,000だったことになる。

するとオーラス寿人と10,900点差で2着を確定させるアガリを目指した太の条件が変わるので、違った展開になっていた可能性がある。

寿人の打点を見据えた一打が、トップを呼び込む結果となった。

麻雀はルール上、加点するためにはアガるかテンパイ料を得るかしかなく、その2つは当然ながらテンパイしなければ加点することはできない。

同じゲームをやっているのに、Mリーガーが36人いれば36通りの打ち筋があり、テンパイへのアプローチも異なるからこそ、その道が交わるときに生まれる熱狂とドラマがある。

レギュラーシーズンも各チーム残り10戦となった。
道の先にある結末は、まだ誰もわからない。

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