水風呂のような冷静さと
サウナ室のような熱さと
醍醐大、待望のMリーグデビュー
文・沖中祐也【火曜担当ライター】2023年9月19日
第1回戦
例年は10月の頭に開幕するMリーグだが、今年は9チーム体制になったこともあり、厳しい暑さの残る9月中旬に開幕した。
やはり注目は新チーム、そして新規加入選手だろう。
この日も1人の打ち手がデビューを果たした。
南家:仲林圭
U-NEXTパイレーツ
北家:醍醐大
セガサミーフェニックス
セガサミーフェニックス、醍醐大である。
醍醐は大きな体躯にいかつい強面に見えるかもしれないが、とても温厚で優しい性格の持ち主である。
そして私と共通点が2つあり、勝手に親近感をおぼえている。
1つは天鳳をたくさん打ってきたこと。天鳳と言えば同じ新規加入選手の渡辺太が話題になっているが、醍醐も7000戦以上の打数を誇る天鳳プレイヤー。
プロ活動と仕事を並行させながら、さらに麻雀研究のために天鳳を継続してきたのだ。
言うまでもなく、好成績を収めている。
2つ目は生粋のサウナーだということ。
昨今、サウナは「ととのった」というワードとともにちょっとしたブームになっているが、醍醐は試合前日には必ずサウナに行き、頭をからっぽにして汗をかくという。
そのおかげでどんなに大事な対局前日でもぐっすり眠ることができる。
昨日もぐっすり眠れたのだろうか。醍醐の大冒険がはじまる。
東1局 この日の醍醐が全て詰まっていた
醍醐の麻雀の特徴として、アガれるメンツを選定し、その他をごっそり削ぎ落とすことにある。
例えばこの手牌。
醍醐はここからを切った。
序盤は字牌を連打して手を広げたが、6巡目に入ってあまり進行しなかったので、安全牌候補のを抱えたのだ。
さらにをツモって切り。
次にツモってきたもツモ切ってどんどんスリムに構えていく。
私がプロ入りして痛感したのが、この「スリム化」の重要性である。
「スリム化」することにより手数が減ってしまうと思うかもしれないが、実は逆の側面もあり、相手から先制リーチが入ったときに押し返しやすくなる。
この局も仲林から先制リーチが入るが
温存しておいた・を消費しながらイーシャンテンにたどり着く。
あのときのやを残していたら、とてもじゃないが押し返せなかったはずだ。
さらに親の渋川からも追っかけリーチが入ったところで
醍醐もテンパイ!
を切ってチートイツの待ちに構える。
打点こそ3200点だが、2人のアガリを潰せれば大きく、悪くないデビュー局となる。
さらにをツモって選択の時。
が良さそうなので、を切ることは決まっていたという。
あとはリーチするかどうか。
表立って発信することが苦手な醍醐はずっとこの瞬間を待っていた。
Mリーグの舞台に立つこと、いや勝ち切る瞬間を。