今年は違うぜ堀慎吾
文・越野智紀【火曜担当ライター】2023年9月19日
第2回戦
東家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
南家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:小林剛(U-NEXT Pirates)
北家:渡辺太(赤坂ドリブンズ)
昨シーズンの結果に全く納得せず、何倍にもして取り返すつもりで今シーズンに臨んだ堀選手。
自身の開幕戦は最も楽しみにしていたという太選手との試合になりました。
太選手と言えば今シーズンから赤坂ドリブンズに加入した注目のルーキーで、麻雀オンラインゲーム天鳳において最高の称号である天鳳位に3度到達した唯一の選手。
その実績を武器にMリーグの世界でも突き抜けた存在になるのではと期待が高まっていました。
東1局。
太選手は牌を溢さないようにと丁寧に牌を扱うタイプの打ち手です。
最初の分岐点での対子落としを選択したのですが、ここでは左のを切ったほうが楽に理牌出来て良かったと麻雀AI「NAGA」の分析でも言っていたとかいないとか。
細かくてどうでもいいところなのですが、手の震えも合わさって少し緊張していたようにも見えました。
緊張をしすぎると麻雀の内容にも悪い影響が出てしまいそうですが、先ほどの局面は主な候補手が3つあり
①いますぐが鳴けてシャンポンリーチも問題無しの切り。
②まずはリーチを目指しつつ、手牌が変化した中盤以降にポンの未来も視野に入れた柔軟っぽい切り。
③鳴き?なんそれ?ピンフの1翻も大事にして一発とか裏もついたらハネマンまで見える切り。
それぞれ利点に違いがあります。
巡目も早いことから、打点に寄せた切りはこの中でも最良の選択に見えました。
ほどよい緊張感は太選手にとって良い方向に働いていたのかもしれません。
ツモでタンヤオや三色への変化も見て切り。
自分の都合で最大の利益を狙った選択です。
しかし、ここで敏感王こと堀選手が登場します。
今にも火の手が上がりそうな状況を察知してをスルーした堀選手。
親の魚谷選手や高そうな太選手に対抗する手段として、自分は危険を冒さずに「弱小国同士助け合いましょう」と
を切り、を鳴いている小林選手を前に押し出す作戦に出ます。
後方から物資を支援され、喜んで前線に飛び出したのは小林選手。
先制リャンメンテンパイが入れば簡単には降りないのが人というもので、ましてや仕掛けたのは信頼と実績の麻雀サイボーグです。
直後に親の魚谷選手から入ったリーチに対して、宣言牌のを鳴いて一発消し。
小林選手が押しやすい環境を作ったところで東1局の堀選手の仕事は完了しました。
他家の危険を察知して自分は早々に退却し、戦いやすい戦場を用意して後詰に充電満タンのロボを配置。
そこからは台本通りに話が進み
リーチピンフ裏裏で12,000の横移動。
そこには騎士道精神を一切感じませんが、戦上手にもほどがありました。
戦場で最後まで生き残るタイプの堀選手は、75%ある他家が主役の局を無傷で終え
自分の主役回ではリーチツモ三色でしっかりと加点。
トップ目で東2局の親番を迎えると
自分のターンか微妙な配牌から、ホンイツやトイトイになることもあるので積極的にをポン。
が枯れると前巡切ったもくっつき要員として再雇用して繊細な部分を見せます。