魔王 #佐々木寿人 とシンギュラリティ #渡辺太 2人が選んだ、テンパイまでの道筋【Mリーグ2023-24観戦記 3/11】担当記者 #江崎しんのすけ

魔王・佐々木寿人
シンギュラリティ・渡辺太
2人が選んだ
テンパイまでの道筋

文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2024年3月11日

第2試合

東家:魚谷侑未(セガサミーフェニックス)
南家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:渡辺太(赤坂ドリブンズ)
北家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)

あなたがMリーガーだったとして、
東1局のこの配牌を、どう進めていくだろうか?

なんとも贅沢な配牌だ。四暗刻、下手すれば四暗刻単騎にもなり得るリャンシャンテン。ドラが【4ピン】なので面前で仕上がれば出アガリでも倍満クラスの手になる。

今期初となる役満がついに出るかと思われたが…

この配牌をもらった太は実に冷静だった。

役満を視野に入れたのはほんの一瞬だけ。2巡目に切られた1枚目の【1マン】をポンしてイーシャンテンに取る。

ここまでくっきりと役満が見えていると、この選択をもったいなく感じる人も多いかもしれない。

しかし冷静に見ればドラが【4ピン】なので、この手は面前に拘らずとも満貫跳満が見える充分なチャンス手。であればシンプルに手を進め、アガリを逃さないように構えたい。

面前だろうと鳴いた後だろうと、テンパイしたときにはシャンポン待ちか単騎待ちにしかならない点も大きい。
待ちは最大でも4枚しかないため、テンパイまでに他家が当たり牌を1枚先に処理するだけで、アガリ率は大きく変わるだろう。

この局は寿人からリーチが入り、当たり牌を掴んだ太が放銃して終わる。結果こそついてこなかったが太らしい一打が垣間見れた一局だった。

今期25戦目の出場となる太。その攻撃的な雀風もすっかりお馴染みとなったが、今期のスタッツを見てみると、和了率はリーグ平均よりほんの少しだけ高く、放銃率は平均より低いという意外にも大人しい数字になっている。

参考:

(Mリーグ成績速報(非公式)様)

押している局面は多くとも、押す牌の放銃率、通った場合のリターンを正確に判断しているからこそのスタッツであり、今期の好成績を物語っている。

この試合では、太のテンパイへの嗅覚が存分に発揮される局面があった。

東2局、太にドラ3・赤1のチャンス手が入る。

アガれば高打点が約束されているものの、カンチャン3つのリャンシャンテンと形は苦しい。

次巡、親の寿人から【7ピン】が手出しされる。

この【7ピン】を太はカン【7ピン】でチーして打【9ソウ】とする。

形だけで言えばシャンテン数の進んでいない、むしろ1pを使うと役が無いためシャンテン数を落とすようなタンヤオ仕掛け。

ただどうせ面前で進めても急所だらけの手なので、急所を組み換えながら鳴きを駆使して進めた方が早いと読んでの動きだった。

この仕掛けの優秀なところは、一見不安定に見えるが親からの攻めには対応できるところだ。

太から見た河。
親番の寿人は第一打が役牌の発で、【2ソウ】【7ソウ】【7ピン】とドラ周りの中張牌が溢れている。いつリーチが飛んできてもおかしくないだろう。

もし寿人から次巡リーチが飛んできたとしても、現物【1ピン】【7ソウ】があるため手を崩さずに回ることができる。

自身の手を進めつつ、守備力も担保されているバランスのとれた仕掛けだ。

次巡、【2ピン】を引く。
アガリだけ見れば【1ピン】がいらないが、先述の通り守備として取っておきたい牌なので少し手狭に打【2マン】とする。

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀戦術シリーズ 新刊情報/