トップ目に立つと基本的には守備的な選択が目立つようになるが、堀は持前の読みの深さを活かして、驚くような攻めを見せてくれる。
続く南2局でのこと。
親番はラス目の猿川だった。
ここまで苦しい展開が続いた猿川。
5巡目には面子手、七対子どちらも取れるリャンシャンテンに。
が暗刻になりイーシャンテン。
三暗刻、七対子はもちろん4pが暗刻になれば四暗刻まで狙えるし、を引けば面子手に戻すこともできる。
が対子になり七対子テンパイ。
が2枚切れなので、一旦単騎ダマを選択。
猿川の立場からすると、自身の親番を少しでも長く続けるために一刻も早くリーチと言いたい。
次巡、猿川のツモは。
は1枚切れで猿川の捨て牌に4mがあるためそれだけ考えれば良い待ちだが、日向・堀の2人が変則的な捨て牌で、残り2枚が既に持たれていてもおかしくはない。
しかし、既に11巡目でこれ以上良い単騎を探している間に他家の手が進み親番を落とされてしまうかもしれない。
猿川は断腸の思いでリーチに踏み切る。
その2巡後
堀にもテンパイが入る。
序盤から手が悪く、七対子だけ狙っていた堀だったが、道中ドラを重ね七対子ドラ2の待ちでテンパイする。
相手がラス目の親番なので、テンパイは取るものの当然ダマテンを選択。
数巡後、猿川がツモ切った赤を3着目の瑠美がチー。
ドラ3のチャンス手だった瑠美だが、テンパイが入らない。渋々チーしてリーチに通っていないを使い切ったテンパイを目指す。
同巡、堀が引いてきたのは
猿川のリーチ、瑠美の仕掛けどちらにも通っていない。
リーチに対してかなりの種類の牌が通っており、通っていない筋は・・・・の5本。
その中でワンチャンスになっている比較的通りそうなのが・・で、当たる可能性が高そうなのが・だ。
堀のツモはあと2回。が4枚見えておりが2枚切られているのでの対子を落とせば安全に降りることができる。
殆どの人がオリそうなだが、なんと堀は特に時間も使わずにスッとを押したのだ。
この局は結果としては流局。
堀のアガリには至らなかったものの、テンパイ料により日向との点差を9,500点にまで広げる。
堀はどのような思考で、このを押したのか。
堀視点での河がこちら。
局終盤ということもあり、・・などかなりの種類の牌が4枚見えている。
3枚見えている牌の数も考慮すると、順子手は作りにくい状況で、猿川の手は七対子や暗刻の多い手になっていることの方が多いだろう。
ただ、順子手の可能性も完全に否定できているわけではなく、マンズ2面子、ピンズ・ソーズで1面子ずつの手の可能性はある。
例えばこんな形。
を先に固定し、カンが入って待ちになったパターンだ。
順子手でになっているパターンはこれくらいしかないが、一応可能性としては残っている。
河だけ見れば、100%否定できるわけではないので、やはりオリの選択になりそうだが、ここにもう一つ読みの要素が加わる。
それは、リーチ時の間合いだ。
猿川はMリーガーの中でも打牌スピードが比較的早い選手だ。
その猿川が、今回のリーチをかけるまでに約10秒ほど少考している。
上記のようなリャンメン待ちだった場合、一刻もリーチをかけたい猿川の立場からすればノータイムでリーチをかけるだろう。
そしては愚形には当たる可能性が低い牌だ。
堀からは3枚見えているのでシャンポン待ちは無く、猿川が直前にを切っているのでカンも無い。唯一単騎だけはあるが、3枚見えているので可能性としてはだいぶ低い。
一見危険に見えるだが、順子になりにくい状況とリーチ時の少考を考えると勝負できる牌なのだ。
ちなみに瑠美に対してもは通っていないが、瑠美もチーする際に一度スルーする素振りを見せていた。