一分の隙も無い堀慎吾
トップに立った天才が
見ていたもの
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2024年10月8日
第2試合

東家:日向藍子 (渋谷ABEMAS)
南家:猿川真寿 (BEAST X)
西家:二階堂瑠美(EX風林火山)
北家:堀慎吾 (KADOKAWAサクラナイツ)
Mリーグ2024レギュラーシーズン26戦目。
この試合は、堀慎吾の完勝だったと言っていいだろう。

序盤にリードを築いてから、一度も逆転を許すことなく、今シーズン3戦目にして個人2勝目を獲得した。
麻雀は基本的にツイていないと勝てない。
いくら技術が凄くても、牌の組み合わせ次第では加点することができない局が、決して少なくないからだ。
今日の堀も、幸運だった場面はいくつもあった。


東1局では、ラスト1枚の9m単騎をツモり瑠美とのめくり合いを制して2,000-4,000決め


東3局ではドラののカンチャン待ちでテンパイを入れダマテンを選択。瑠美のリーチ宣言牌の
を捉え、5,200点の加点に成功する。

南場に突入した時点での堀の持ち点は37,200点。
堀はここから一度も逆転を許すことなくトップを持ち帰る。
1試合を通してラッキーな場面はもちろんあったが、この試合では点数を持った後、特に南場での状況判断に全く隙が無かった。
南1局、堀は選択を迫られる。

を引きイーシャンテンになったところ。
・
・
にくっつけばテンパイ。普通に考えれば好形テンパイが少ない
を切りたいところだが、くっつけばピンズの一通になる。
堀は打を選択した。

何気ない選択に見えるが、がドラなので、
を残して打
を選ぶ人も多いのではないだろうか。
堀はトップ目とはいえ、2着目の日向が4,200点差とすぐそこまで迫っており、決して安泰ではない。
現状ドラの無いイーシャンテンなので、ドラを使える手にして日向との点差を広げたい、という思考になってもおかしくない。
堀から見た河がこちら。

堀以外の3人とも字牌から切り出しており、5巡目で既に見えていない字牌が東と西しかない。変則的な河がいなくて全員真っすぐ手を進めていそうだ。
特に日向と猿川の手が早そうに見える。
日向は→
と役牌から切り出しており、
の後に1枚切れの
が出てきたところ。猿川は
→
の手出しから2巡のツモ切りを挟んで
を手出ししている。
見えていない字牌が東と西しかないことを考えると、2人のうちどちらかは字牌をもっていないイーシャンテンになっていてもおかしくない。
実際は

日向が愚形残りのリャンシャンテン(を1枚抱えている)

猿川が赤2のくっつきイーシャンテンと勝負手が入っていた。
堀もイーシャンテンなのでアガリを目指したいところだが、一応トップ目なので打点も見つつ躱し手のルートを残しておきたい。
日向が序盤にを切っているため、
にくっついて
もしくは
待ちになれば、最悪のケースである日向からの先制リーチが入ったとしても、他家が対応した牌でアガれる可能性がある。
この選択が功を奏した。

次巡、堀が引いたのは。
ダマテンに構え息を潜める。


数巡後、瑠美がツモ切ったを捉え平和のみ1,000点をアガる。
もし打としていてもその後
を引いていたので
のテンパイは入っていたが、この
でアガれてはいないため、全く別の展開になっていた可能性もある。
打点こそ低く目立たない局ではあったが、冷静な判断がライバルの親落としに繋がった局だった。