次巡にを引いてくるが、ツモ切り。中田の国士無双を念のためケアする打リーチ、もなくはないが、
「攻撃力を最大化させる選択は何か」というスタイルに変化はない。
をツモって3000-6000。大きなアガリをものにし、またも高宮が役満ストッパーとなった。
…それにしても、浜松町には役満が出ない。
1年8ヶ月役満が出ていないことになる。この静寂を打ち破るのは誰になるのだろうか。
閑話休題。
先ほど「松ヶ瀬の国士無双リーチに、バラバラから仕掛けて押し返す高宮」の画像をお見せしたが、今シーズン高宮には
「副露意識」にも変化が見られたのではないかと考えている。
南場にその意識が垣間見えた場面があったので、ご覧いただきたい。
南1局
を鳴いている高宮。をカンチャンでチーして…
を打って単騎。インタビューで本人は、意図を含めた上で反省かなと語っていたが、これはかなり面白い一打である。
まず、手牌としての価値は
・を両面採用する(受けは暗刻を使うことで待ちに出来るための価値が低い)
・と1枚差
このメリットがある。
さらに、高宮自身の河と合わせて考えると、
・このあとと払われることによる奇妙さを演出できる
この価値は、2副露している手牌においては大きい。
一般的に、2副露以上されている手牌でターツ払いが入ると、テンパイ時に単騎になる割合が上がるといわれている。
だが単純な単騎待ちなら、カンで仕掛けるのではなく、と仕掛けて単騎に取る人も多くいると思う。
しかもなにかが暗刻だったとして、ピンズのくっつきを残して両面変化を待つにしても、と仕掛けて打とした単騎が普通だろう。
つまり唯一が暗刻の時だけ、この仕掛け方が単騎待ちの牌効率上成立するのであるが、こんなパターンを読み切るのは正直人間には不可能である。
この打は、かなり単騎待ちをぼかせている、そのように思える。
実際ここから→→と手出しが入るのだが、ここまで見ても私にはあまり単騎待ちに見えず、カンチーの効果が発揮されたと思っている。
この「副露時の河のデザイン」に関する意識の変化は、間違いなく高宮の攻撃力に磨きをかけている一要素だという印象を受けた。
副露が門前の手組みにも表れていたのが南2局。
門前最重視であれば打とする一手。高宮はここで打とした。
とがそれぞれ1枚打たれており、打とするとカンに必ず依存した形になる。
それよりはタンヤオを確定させておいていざというときに仕掛けられるようにするのと、先制リーチ率を上げるのが狙い。
2枚目の愚形が打たれると形が劣化してしまう。その時の保険のために仕掛けを残すのであり、鳴くことは今の点数状況から考えると本望ではない。だが状況に応じて柔軟に構えることができるのが魅力である。
高宮の1人テンパイ、黒沢が3900を中田からあがり迎えた南3局は、今までの高宮らしい副露判断だった。
トップの松ヶ瀬とは1400点差。との両面2つ、完全イーシャンテンの形になった。
ここから、中田が出したも、
もスルー。
ここはあくまで門前にこだわり、この局での逆転を目指す。
スルーが実りリーチにこぎつけ、
一発ツモでトップの決定打へと昇華させた。気持ちいい!!
タンヤオのみでもツモか直撃なら一応トップ目だが、この瞬間逆転することや、今のアガリのように満貫にでもなったらオーラスは非常に楽になる。
このようにまっすぐリーチを目指していく姿もカッコイイ。
高宮は一ヶ月ぶりのトップ。言葉では言い表せないほど嬉しそうで、ファンへのメッセージも詰まってしまうくらいには高ぶって胸がいっぱいな感じが伝わってきた。
以前、私の知り合いの強者からこんな言葉をもらった記憶がある。
「自分のスタイルと違うことにチャレンジして、その結果自分のスタイルに回帰したとき、麻雀が強くなるよね」