開局の想定外な失点を受けながら気持ちを切り替えると、逆転の発想へ。ラス目という立場を利用しての、プレッシャーのある仕掛けを駆使する。
そんな多様な引き出しで
想定内の一人テンパイとし、リズムを作ると
東4局では単騎からツモによりの絶好の変化へ。
何度も待ち牌の確認している姿が印象的であった。
それくらい勝ちたいという執念が伝わってくる。
そして、その想いに応えるかのように
牌も木崎の元へ微笑んだのであった。
このアガリにより、木崎・小宮・丸山のアガリ勝負の様相で終盤戦へと進んでいく。
2回目のミスが致命傷となる──明暗を分けたのは──
実況・日吉
「小宮ATMですね!」
解説・小林
「最高位戦の女流で強い人挙げるとしたら、必ず名前はあがってきますからね。」
解説・魚谷
「安定してて、堅いですね。」
前半のリードを手堅く守ってきたのは
最高位戦日本プロ麻雀協会所属の小宮悠であった。
画面越しからも非常に落ち着いた雰囲気が伝わってくる。
実は、私自身も3年前の麻雀最強戦プロ予選ベスト16で対戦経験があるのだが、その時も淡々と打牌を繰り返しながら勝負所になるとギアを上げてくる覚えがあった。
その時は隙なく打ち回され完敗を喫したのだが、ここまでの印象は大人しいの一言。
解説・魚谷
「この局は小宮さんにとって、どう打つか難しいですね。」
南3局
点数状況は以下の通り。
小宮:32,300
丸山:29,700
木崎:25,000
岡田:13,000
現状3着目の木崎からリーチが入った所である。
小宮の立場から考えると、2着目の丸山が親なので一局流れる分ならそこまで悪くはない。
ただし、理想は木崎に大きな加点される事なくトータルトップ目でオーラスを迎える事。そうすれば2着抜けトーナメントにおいて自身がターゲットになる事なく通過が濃厚なのだ。
(木崎さんには放銃しちゃいけないし、丸山さんに鳴かれるのも嫌だな。)
ここまで守りに重きを置いてきた小宮の頭の中は、僕らが想像しがたいくらいに疲労していた。
そして、その瞬間は突如として現れる。
小宮は木崎のリーチに対して、筋ではあるが通ってに手を掛けると
木崎からロンの宣言を言い渡されたのであった。
後に小宮は
「現物のを切ろうとした瞬間、丸山さんの河に置いてあるが目に入って…。気づいたら意図しない牌が放たれてる事に自分でもビックリしました。」
対局後、素直に自身のミスであった事を話してくれた。
そして、続けるように
「でも、やっちまった事はしょうがないと割り切って。とにかく、冷静になって今自分ができる事をやろうと。」
トップ将棋棋士・森内俊幸の言葉にこのような格言がある。
“2回目のミスが致命傷となる。”
小宮はこの放銃をキッカケに目を覚ますと、ここまで見せてこなかった攻めの姿勢に転じる。
南4局1本場
丸山から