これがスターか多井隆晴!
苦しむ押し引きの中で
掴み取った裏3!
【B卓】担当記者:危険な鬼太郎 2020年12月6日(日)
このザ・リベンジは敗者復活戦のタイトルだ。最強戦で一度は敗れたものの、視聴者を熱くさせる麻雀を打った8人だけに、再度チャンスを与えてあげようという企画だ。
ただ、この8人の中で上り調子の打ち手が一人いる。
それがこの日本プロ麻雀協会所属の矢島亨。
昨年は現Mリーガーの堀慎吾に雀王決定戦で敗れる物の、見事にリベンジを果たして堀の手から雀王を奪還した凄腕。
麻雀協会どころか麻雀界を代表する打ち手にまで成り上がった。
対するはニヒルな笑顔を振りまくこの男。
RMU所属の多井隆晴。言わずと知れた現役最強雀士の一人ではあるが、何かもう登場からふざけまくっている。
こんな余裕な登場が許されるのも彼が強い雀士で勝ち続けているからだ。大舞台は何度も経験しているので、微塵も緊張感を感じない。
そして今大会唯一の女流。
日本プロ麻雀連盟所属、仲田加南。
多井同様に緊張感を全然感じない登場をしており舞台慣れを感じる。無筋を切る回数が非常に多いく、観ている者を非常に楽しませてくれる麻雀を打ってくれる打ち手だ。
そして最後は今大会唯一のレジェンド。
麻将連合μ所属、井出洋介。
麻雀プロってどこからがレジェンドなのか?明確な境界線が良く分からないが、井出は間違いなく麻雀界を代表する打ち手だ。数多くの麻雀本を世に出しており、麻雀ゲームの監修もしていて多くの人たちに麻雀の楽しさを普及させた。
その雀風も異端そのもの。リーチを極端に嫌う打ち筋で、現代麻雀とは逆を行く打ち筋。
個性しかない4人がこのB卓に集まった。
【B卓】
多井がらしくなチーテンを取る。
をカンでチーしての聴牌。多井なら…というよりも普通の打ち手ならこの手はメンゼンで進めてメンタンピンぐらいの手までメンゼンで目指すのが普通だ。
しかし…場が少しおかしい。上家の矢島がドラのを2巡目に切っていて国士無双気配。ドラ打ちが早すぎるので手牌が相当まとまっている可能性もある。
「万が一もあり得るしな…」
国士をアガられたらもう勝ち抜けが決まってしまう。だからこその渋々のチー。
実際矢島は4シャンテンだったが、多井は登場シーンこそ怖いほどの笑みを浮かべていたが隙が無い。
道中できっかりと三色の役を付け加えて、タンヤオ三色ドラ1の3900点のアガリ。
交わし手としては高すぎるアガリとなった。
東2局 親・矢島 ドラ
親番の矢島の手組が面白い。
ここで矢島は小考。ここは手牌に全く関係ないを打つような気がしたが、矢島は
矢島の選択は打。ここは多少の手広さよりもタンヤオの方を重視する。
の受けはなくなってしまうがこうしておけば大概の場合で打点が付くし、最悪の場合は鳴いてのタンヤオで連荘も狙える。
バランスが取れた凄く良い一打に思える。
たったドラのを1枚引いただけで矢島の手は見違える。後はリーチタンヤオドラ1のリーチを打つだけだ。
ここで矢島に再度選択が訪れる。
を引いてきて今度は手の内に残す。ドラを引く前は鳴く事も考えて手組をしてきたが、今度はピンフドラ1のリーチを打つ事だけを考えている。
そして見事に最高形に仕上げてリーチを打つ!
を重ねてのメンタンピンドラ1のリーチ!
多くの打ち手はを雀頭にして矢島より早く、タンヤオを消してリーチを打っているのではないだろうか。
ツモってくる牌によって思考を柔軟に曲げつつ、マンガンの手まで作り上げた。
これに予想外の粘りを見せたのが七対子の聴牌を入れていた多井。
Mリーグでは間違いなく降りそうな牌姿から多井はをプッシュ。は場にピンズが安くドラ跨ぎのよりははるかに切りやすいが…この程度の聴牌で親に対して無筋を打つ多井も珍しい。
「親の矢島にマンガンでもツモられれば、このまま抜け出してしまうかもしれない。そうなれば3人で1つの椅子を争う事になってしまう。それは避けたい。親に無筋も多い事だし1枚ぐらい勝負だ!」