史上最速の組み合わせ! 追憶の寿人が魅せたノータイムオリとは【Mリーグ2022-23観戦記3/14】担当記者:ZERO / 沖中祐也

史上最速の組み合わせ!
追憶の寿人が魅せた
ノータイムオリとは

文・ZERO / 沖中祐也【火曜担当ライター】2023年3月14日

おそらく… だが「Mリーグ最速の組み合わせ」ではないだろうか。

第1試合

東家:仲林圭
U-NEXTパイレーツ

南家:松本吉弘
渋谷ABEMAS

西家:佐々木寿人
KONAMI麻雀格闘倶楽部

北家:勝又健志
EX風林火山

実況:小林未沙
解説:藤崎智

この人達はきっと行列のできるラーメン屋には並ばない。
回ってくる寿司につい手が出ちゃうタイプで、エスカレーターは絶対歩くし、ディズニーランドは当然のファストパスである。

彼らは何を生き急いでいるのか──

東1局2本場、大逃げを狙う仲林の親リーチに対し、まぜそばには追い飯、くらい当たり前な顔で無筋を三連打する男がいた。

 

──寿人はサッカー少年だった。
フォワードでドリブルが大好きだったという寿人少年は、相手に囲まれようともなんとかしてドリブルで突破できないかと強引に突っ込んでいった。
味方にパスを出すことが少なかったのだ。

いくら運動神経が抜群でも、チームプレイができなくては立場が悪くなる。
意思疎通があまり得意ではない性格もあり、部内では浮いていたという。

(俺は団体競技に向いてねぇな…)

寿人少年は幼心にこう悟ったという。
こうして麻雀と出会い、麻雀にハマっていったのは必然だったのかもしれない。

2軒リーチの結末は、うまくテンパイした勝又から【6ソウ】が溢れ、仲林の高目にダイブ。
12000は12600のアガリになり、仲林は45600点のリードを築いた。

東1局3本場

寿人はこの【5マン】をツモ切った。当たり前すぎていちいち明記しないが、もちろんノータイム打牌である。
いやいや、さすがに逃す変化が多くて打【中】の方が良いのではないか。
(マンズの【5マン】【6マン】【7マン】【8マン】を残すとツモ【4マン】【5マン】【6マン】【7マン】【8マン】【9マン】で現状より良い形になる)

──寿人の練習方法の9割が打ち込みだという。
それもサンマ(3人打ち麻雀)である。
サンマは精神と時の部屋みたいなものだ。人数が少ない分濃度が濃い。
選択に迫られる機会が多く、反射神経を磨ける。

そんな寿人がプロ入りした際、一番下のリーグにも関わらず寿人の後ろだけ人垣ができた。すでに新宿の伝説となっていた寿人を一目見ようとプロ内外から注目を浴びていたのだ。
一挙一投足に注目が集まる中、普通の人なら緊張する場面だが。

(やることは麻雀っしょ)

と、当人は冷静だったという。

今一度【5マン】を切った場面を振り返ってみると、普通の切り出しから赤を切っている人が2人。(下家・対面)さらに上家はピンズ一色の捨て牌模様から字牌→ピンズと余らせている。

いつどこから火の手が上がってもおかしくない状況であり、実際に3人ともイーシャンテンだったし、寿人が【5マン】を切った直後に勝又(下家)からリーチが入った。

寿人は長年の打ち込みから、3人のスピードを肌感覚で捉えており、この手は【1ソウ】【4ソウ】
とドラを使ったカン【8ソウ】で勝負、ダメならオリ!それが最善!という結論がツモってくる前に決まっているのだろう。そうでなければ音速のツモ切りの説明がつかない。

結局この局の寿人は無筋を2枚掴まされてオリ、

勝又が2300/4300をツモり、長い仲林の親がようやく落ちた。
東2局以降は一転して小場で回っていく。

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