大会社も零細企業も
栄枯盛衰だらけ
今から20年以上前の麻雀劇画誌を何誌か入手し、懐かしく読み返しました。
当時は、各社から複数の月刊誌が発行されており、私も西原理恵子さんといっしょに連載してました。
当時の私は、ギャンブル・ライター銀玉親方として、パチンコの攻略記事を主に手掛けていたんですが、麻雀はそれ以前の学生時代から書いておりました。
読んでいて、ふと雀荘の広告に気づきました。20年前は現在私が経営している店はまだ無く、当時隆盛を誇っていた有名雀荘のいくつかが、すでに姿を消しているんです。
逆に、当時まだ創業していない雀荘が、今では立派なチェーン店を展開しています。
「上場企業の平均寿命は20年くらい」
とかつて言われたことがありますが、年々短くなっているのが実情です。
ましてや中小零細企業が多い、雀荘業界では当然と言えば当然かもしれませんが、ちょっとショックでした。
思い返してみると、確かにそういう事例には事欠きません。
かつて池袋に日本中の雀荘経営者が見学に来るほどの超繁盛店がありました。
女性経営者のその店に、私も何回か遊びに行ったんですが、スタッフがハキハキ・キビキビ働いていて素晴らし店でした。
お客さんのマナーに対してもも、当時としてはかなり厳しかった。
「お客様、打牌はソフトにお願いします」
そのころは、強打や引きヅモがあたりまえでしたが、キチンとスタッフが注意をするんです。
「極端な長考や遅切りはおやめください」
スタッフが店内を巡回しながら、遅い人の後ろを通りながら、暗に注意を促します。
今のフリー雀荘でも、ここまで徹底している店はあまり無いんじゃないでしょうか。
外部からは分かりませんが、その他にも、色んなノウハウがあったんでしょうね。
「同業者の店内見学は固くお断りします」
の注意書きが入り口に貼ってあったくらいでした。
理由は分かりませんが、その超繁盛店は今はありません。
一説では、女性経営者が客席で犬を飼っており、お客さんや従業員よりも大事にしていたのが原因では、とも言われてましたが。
実際には、じゅうぶん稼いで引退してのかもしれません。
当時、歌舞伎町一番街の入り口に、有名な東風戦の店がありました。
ここの店の特徴は、経営者も店長も強いこと強いこと。
東風戦のスタッフは強くないと、簡単に給料が無くなってしまうんです。
噂では、地方にゴルフ場を持つほど儲かったそうです。
「ゴルフ場経営が足を引っぱった」
とも聞きましたが未確認です。
私が近代麻雀で「麻雀で食え!」を連載し始めたのは、東風戦で食うための連載でした。
そして、パチンコ雑誌で私の担当編集者だった河本智彦さんが発明した、ギャル雀の爆発的ヒットです。
元祖は無くなりましたが、それをマネして私も雀荘を開き、なんとか今まで経営しているんです。
それ以前にも雀荘を経営していたことがあるので、営業許可自体は10店舗くらい取得してます。
で現在3店舗の生き残りですから、何回も倒産の危機に遭っているるんです。
こうして見ると、新しいアイデアがヒットすると凄いのが分かります。
●徹底的なマナー改善。
●フリー初の東風戦。(もっと前から裏ではありました)
●男ばかりの雀荘に若い女性登用。
他にも
●赤牌の導入。●赤6枚。●白ポッチのオールマイティ
などもヒットしました。
さて、一世を風靡した店でも不運にも倒産廃業を余儀なくされることがあります。
その原因は一般的には
●放漫経営●過剰投資●過剰借入金●立地の変化
●社長の病気●従業員の不正などが挙げられます。
でも実際には
●運悪く倒産した、というのが意外と多いんです。
「運不運を言うのは親方らしくない」
長く私のコラムを読んでくれてるみなさんは、そうお思いかもしれませんが、結果的にそうなってしまうことは、けっこうあります。
昔の機械式のパチンコの大当たりで、最高10ラウンドの機種で、10ラウンド完走が意外と難しかったようにです。
1ラウンドのクリア率は90%でも、それを次々を掛け算していくと、完走する確率は意外と低いんです。
「ウチの会社が今年倒産する可能性はほとんど無い」
なども同じです。
あなたの会社も私の雀荘も10年後は、どうなってるか分かりません。私の場合は店よりも自分の心配をしたほうがいいかもしれませんが。
女性も手に職を持て
今の幸運がいつまでも続くと思うな
古い麻雀雑誌の広告だけでなく、漫画家さんの移り変わりにも驚きました。
西原さんのように、さらにメジャーになる人もいれば、最近あまり描いてなさそうに見える人もいます。
実は私も銀玉親方の時に比べると、ライター稼業はかなり下火です。
西原理恵子さんが、女性特に専業主婦のみなさんには言います。
「今あなたの旦那様が稼ぎが良くて、健康であなたを愛してくれていても、いつまでも全部が続くと思ってはいけません。どれかひとつ欠けても、あなたは路頭に迷うかもしれませんよ」
だから
「いつでも働けるようにしておきましょう」
と。
確率の掛け算を、縦の時系列だけでなく横の空間的な条件にも言及したものだと思います。
一つ一つがダメになる確率はすごく小さくても、合計するとけっこう高い確率になりすです。
私は仕事に関してはもう少し楽観的です。
●働く能力を毎年にように数%上げて行けば、複利計算のように能力が上がる。
●それをチームでやったら、もっと凄いことになるんじゃないか。
私の仕事は凄いことよりも、エライ事になってる時期が多いんですが、まだ希望は捨ててませんよ。
(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2015年2月15日号)
●西原理恵子公式HP「鳥頭の城」⇒ http://www.toriatama.net/
●山崎一夫のブログ・twitter・Facebook・HPは「麻雀たぬ」共通です。⇒ http://mj-tanu.com/
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