記録に残らなかった
美しい1局
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2025年1月13日
1月13日 第2試合

東家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
南家:鈴木大介(BEASTX)
西家:鈴木優(U-NEXT Pirates)
北家:浅井堂岐(セガサミーフェニックス)
Mリーグ2024レギュラーシーズン130戦目は、大介がBEASTXに約2か月ぶりとなるトップを持ち帰った。

この試合の見どころと言えば、当然東4局の大三元だろう。


をポンしている大介に対して、親番で手が入っていた堂岐が
を切ると32,000点の声がかかる。
放銃した方からすれば交通事故のような一撃で、大介が一躍トップとなる。
その後も高打点を決め、今シーズンの最高打点となる91,300点のトップを記録。苦戦が続くBEASTの負債を100ポイント以上も返済する非常に大きな1勝となった。

ただこの試合を語るにあたり、東2局の大介のチョンボについても触れる必要がある。


局の終盤、タンヤオの片アガリでテンパイしていた大介は、
が出た同巡に出た
に対してロンの発声と倒牌を行ってしまい、フリテンロンによるチョンボとなった。
Mリーグの規定上、試合中の点数に変動は無く、大介の個人成績から20ポイントがマイナスされ、この局はやり直しとなる。
大介の表情からも、かなり堪えているように見えた。

ただ、このヒューマンエラーを引きずらず打ったおかげで、結果としてチームポイントは1日を通してプラスで終えたことは不幸中の幸いだろう。
チョンボとなった局は牌譜には残らない決まりになっている。
そのため、牌譜上では「無かった1局」になっているのだが、チョンボを除けばこの局の大介の手順は非常に見事だった。
この局、まず南家の優が待ちのリーチをかける。


場に5枚切れだがお構いなし。優らしいリーチだ。
この先制リーチに対して
ドラ2になった堀

そしてドラ3でかつ親番の大介が立ち向かう。

数巡後、現物になった7mを堀が切ると、大介がカンでチーして無筋の
を勝負する。

注目してほしいのが、ではなく
を切っているところだ。
が通っているので、リャンメンで当たる確率は同じ。
愚形は優がを切っているのでカン
と
シャンポンは出てきにくいが、
シャンポンとカン
は出てくる可能性がある。
大介の手はタンヤオなので、無意識に真ん中の牌を残したくなるが、あえてを手の中に残す。
次巡、大介はを引き入れ中筋となった
を切る。

もしを手に残していた場合、
を後から引いても手の中で使うことができる。ただ
を既に3枚持っているので
は1枚しかなく
もワンチャンスでそこまで危険度は高くない。
は現物なので実質吸収できるのは
のみ。
対してを手に残しておくと、
は後から引いても使うことができ、
を除いたとしても
の2種類と対応できる牌が多いのだ。
次巡、を引き
の
だけタンヤオでアガれるテンパイ。
中筋のドラを勝負する。

このを堀がポン。
の後付けでのアガリを狙う。

事件はこの直後に起きる。
ベタオリをしていた堂岐が直前に通ったを切る。

その直後、堀が優の当たり牌である9mを掴む。

