西原理恵子 & 山崎一夫 麻雀中毒者はアレが赤く見える!? 依存症のどこが悪い!?

さいばら&山崎の でかぴん麻雀入門【第7回】

麻雀中毒者はが赤く見える

かつてぼくが銀玉親方だったころ、「パチンコ必勝ガイド」編集長の末井昭さんから、開店時間前に、よく電話がかかってきました。

「もしもし山ちゃん、駅前の店の一発台の命クギが、パックリ開いてるよ」
「え、まだ開店前なのになんで分かるの?」
「寝ている時に、ピカピカの真鍮の命クギがクッキリと見えた」

ただの夢とか幻覚じゃないかと疑いつつ、いちおう聞いてみました。

「どれくらい?」
「幅12.5ミリ!」

おおお、日当数万円のお宝台じゃないか。

「了解、すぐに行きます」

 アホじゃ~。

その頃ぼくは、体感器という機械を使って打つこともありました。
当時は、パチンコ台のコンピュータの大当たり周期が長い機種があり、狙い撃ちができたんです。

もちろん店は使用禁止にしているので、こっそりと使います。

腹部に体感器本体とバッテリーを仕込み、太モモの裏側にタイミングを取るためのリレースイッチをガムテープで張り付ける。

「ピッピッピッ、ポーン」

時報のようなイメージで、玉を打ち出すんです。
これを何日も続けていると、体感器を着けずに寝てても(あたりまえじゃ)、

「ピッピッピッ、ポーン」

やがて太モモが、勝手に時報を打つようになるんです。

 アホじゃ~。


さて、それよりもさらに昔、学生時代に雀ゴロのような生活をしていたころのことです。
中年男性でぼくの麻雀の師匠だった「鬼瓦のパクさん」が、スポーツ新聞の麻雀欄を、鋭い三白眼でニラんでおりました。

パクさん、この牌活字のは何色に見えます?」
「何をバカなことを言ってんだ、に決まってるだろ」

もちろんモノクロ印刷なので黒です。

パクさん、ぼくも最近知ったんですが、これは黒インクらしいですよ」(自信がない)

パクさんは新聞に三白眼を密着させ、指でこすったりしてました。

「コホン。確かに黒だ。ただし、赤く見えるように、だけ薄いインクで印刷してあるな」

 アホじゃ~。

ちなみに、が赤く見えるのは麻雀中毒としては中期レベルで、は濃緑色に見えるようになると、いよいよ末期症状だそうです。

西原さんいわく
依存症のどこが悪い?

西原さんも、かつては様ざまなギャンブルに、どっぷりとハマってました。

「まあじゃんほうろうき」(竹書房)「でかぴんでポン」「どばくち西遊記」(白夜書房)を描いていた頃です。「まあじゃんほうろうき」のころは、西原さんはまだ駆け出しの漫画家で収入も少なく、世間で普通のレートでも、かなりシビれてました。

初心者だったせいもあり、原稿料が消えていく日々が続きました。
やがて漫画がヒットするようになって収入も増加。

ところがそれを見透かしたかのように、大手広告代理店パッポン堂のMさんや、末井さんが参戦。
お二人が高レートを提唱するや、負けず嫌いの西原さんは、ノーヘル竹ヤリ一本、玉砕覚悟で弾幕の中に突っ込んでいったんです。

普通なら生還できないレベルのギャンブル依存症ですが、西原さんは無事でした。
西原さんは海外取材で知り合い、やがて夫となる戦場カメラマンの鴨ちゃん(鴨志田穣さん)の生き方に、影響を受けたと言います。

「自分がハマってるギャンブルのシビれ具合とはケタが違う」

と同時に、ギャンブルへの依存心がスーっと消えたんだそうです。

「たしかにギャンブル中毒だったけど、反省や後悔はぜんぜんない」

とキッパリ。

「最近は、ギャンブル依存とかネット依存とか借金依存とか恋愛依存とか、なんでも依存症に分類しすぎ。アルコールや薬物の場合は別だけど、行動依存と呼ばれるものは楽しいし、その人にとって必要なことが多いもん」

確かに西原さんの場合は、ギャンブル依存がそのまま漫画に昇華されているようです。

「あたしの周りの仕事ができる人たちって、たいていはワーカホリックだよ。朝から晩までというか、朝から朝まで仕事のことばっかり考えて行動して成功してる。遊びも仕事も恋愛も、他人からは依存と見えるくらいにハマってもいいと思うな」

見事なギャンブル依存症から脱却し、結婚して幸せになったハズの西原さんでしたが、思いがけない事態が待ってました。
夫の鴨ちゃんアルコール依存症だったんです。

「あたしに嫌われないようにアル中を隠してたみたいだけど、戦場に身をさらしてれば、誰だって恐怖でアル中やシャブ中になってもおかしくないよね」

行動依存には肯定的な西原さんですが、アルコールや薬物に関しては、断固否定します。

「鴨ちゃんもそうだったけど、アル中は完全な病気。家族だけでなんとかしようとすると、患者も含めて全員が地獄を見る。絶対に専門家に任せたほうがいい」

 鴨ちゃんはアルコール中毒専門の病棟に入院し、本人の「もう一度家族と一緒に暮らしたい」という強い意志もあって、見事に病気を克服しました。
その様子は「酔いがさめたら、うちに帰ろう」(講談社文庫)に収録され、東陽一監督で映画化も決まってます。
つことで、色んな依存症を紹介しましたが、西原さんの言うように、行動依存は人生を生き抜く大きな原動力にもなり得ます。

 仕事依存上等、ギャンブル依存上等、麻雀依存上等兵なのだ。

(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2010年9月1日号)

●西原理恵子公式HP「鳥頭の城」⇒ http://www.toriatama.net/
●山崎一夫のブログ・twitter・Facebook・HPは「麻雀たぬ」共通です。⇒ http://mj-tanu.com/

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