「私はここにいる」二階堂亜樹が4年間で一番攻めた夜 【Mリーグ2021観戦記10/12】担当記者:ZERO

「私はここにいる」

二階堂亜樹

4年間で一番攻めた夜

文・ZERO【火曜担当ライター】2021年10月12日

既存勢力の争い

月曜日にセガサミーフェニックスの東城が登場したことで、今シーズン新加入の6人が全員顔を見せた。

昨シーズンの開幕戦100万人に対し、今シーズンの開幕戦は150万人の人が視聴していたという。やはり新加入選手の影響が大きく「どんな選手なんだろう?」「どんな麻雀を打つのだろう?」と注目が集まったのだと思われる。
左上から美女・地方のイケメン・声優・初のトレード・オーディション勝ち抜き・姉妹… とそれぞれが抜群の話題性を持っている。

そう考えると、毎年これくらいの新陳代謝は必要なのかもしれない。

あくる火曜日、一回戦のメンバーが発表された。

華やかな組み合わせだ。

(森井さん=サクラナイツの監督)

新人選手の顔見せが一周し、既存選手のぶつかり合いになった。
その中でも亜樹・丸山の2人は今シーズン初登場となる。

そして下馬評では実力者の堀が空気を読まずトップをとるという予想が大半を占めた。

なんにせよ、1週間が経ちMリーグも和やかに平常営業に入るのだろうと感じていたが、その予想はいい意味で覆されたのだ。

開始直後から女性3人の空気感が、昨年までのそれとはまるで違う。

今シーズンこそ結果を残すぞという気迫が画面越しに伝わってくるようだ。

その中でもひときわ鋭い眼光を卓上に落としていたのが風林火山の亜樹である。

昨シーズンまでは表情豊かに打っていた印象があるのだが、この日は半荘通して凛とした表情を見せていた。

東1局 スタートダッシュに成功

その亜樹

ここから【2マン】をツモ切った。
234よりも789の三色をメインに据えた選択だ。

亜樹の思惑通り、ここから一直線で

リーチ・ツモ・ピンフ・三色・ドラ2の6000オールに仕上がる。

会心のアガリを決めても、表情は緩まない。それどころか手が震えているようにも見えた。

東1局1本場 変化の片鱗が見える

丸山(下家)から2巡目リーチが入っている。
亜樹はここから【2ピン】をツモ切った。

親とはいえ、ドラ【白】【赤5マン】が浮いている2シャンテンだ。トップ目に立ったこともあり、これまでの亜樹なら現物の【4ピン】に手をかけていたのではないだろうか?

最高のツモ【6マン】を引き入れて、ドラを場に放つ。

3人に「亜樹さんがきてる…!」と戦慄が走った次巡、

【8ソウ】を引き入れてテンパイ。亜樹の選択は【8マン】切りダマ。

リーチでも良いと思うが、【9ソウ】が通ったばかり。さらにダマに構えておくことで各種赤を入れ替えられるし、【5ピン】を引けば567の三色が確定する。

目論見通り、三色も赤も付加させて猛烈に押していくが、【5ソウ】で丸山に1300の放銃。

点棒を払うその表情に後悔の念はなく、【2ピン】を押し切れてよかったというようにも見えた。

東3局 23年前の姿とオーバーラップ

今度は瑞原(上家)のリーチを受けた亜樹。↓

テンパイが入ったものの、カン【2ソウ】のドラ1だ。

亜樹はじっと卓上に目を落とす。

【1ソウ】切り取らずか、現物の【8ソウ】でオリか、はたまた即リーチか。
どの選択もありそうな局面だが、亜樹がリーチするイメージだけは湧かない。

トップ目ならなおさらだ。

亜樹「リーチ」

渋川「いったぁ!」

松嶋「強気!」

…今シーズンを迎えるにあたって、どのような意識の変化があったのだろう。

いや、思い返せば、私の知る亜樹はこういうタイプだった。

亜樹が無名の新人プロだった23年前(とはいっても当時から話題騒然だった)私は何度も亜樹と同卓している。よく鳴き、よく攻め、そして打牌のリズムが乱れない当時の亜樹に、芯の強さを感じたものだ。

この追っかけリーチを見て…

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