勝利の女神は
丸山奏子に2度微笑む
ミスを乗り越え
自力でつかんだ
ファイナルへの切符
【決勝卓】担当記者:東川亮 2022年4月9日(土)
「麻雀最強戦2022 女流最強スター決戦」は、Mリーガー8名が集う大会となった。どの選手もファイナルにふさわしいように見えるが、勝ち残るのは1名のみ。一発勝負の最強戦で、Mリーガーたちはどんな戦いを見せてくれるのか。
A卓1位・高宮まり
予選ではKONAMI麻雀格闘倶楽部の盟友・伊達朱里紗からハネ満を直撃してトップ通過。決勝では、持ち前の強気な麻雀でファイナル行きのチケットをつかみ取りたい。
A卓2位・日向藍子
守備に定評のある打ち手であり、予選では序盤のリードをしっかりと守りきって2位通過を果たした。決勝では、どこを勝負どころと見て踏み込むかが注目だ。
B卓1位・丸山奏子
予選ではラス目から一発逆転の役満・小四喜を決めて勝ち上がった。Mリーグの修羅場での経験と役満成就の勢いを力に、初のファイナル進出を狙う。
B卓2位・二階堂亜樹
パイオニアであり、今なお最前線で活躍する、女性麻雀プロのトップオブトップ。トップ取りの決勝で、守備型の亜樹が攻撃に転じるとき、場は沸騰する。
亜樹が少し抜け出し、試合は中盤、東4局3本場。この局は親の高宮がそこそこまとまった手をもらう。ドラがあって三色や一気通貫も見え、一気に抜け出す可能性を秘めている。
丸山はピンズが多く、マンズソーズを払ってホンイツ本線の手作り。
少し出遅れている日向も、を暗刻にしてドラ色のホンイツへ。一撃決められれば、一気のトップ浮上もある手だ。
丸山がのリャンメンチーから動き出す。まだ遠いが打点は見え、2枚見えている字牌が既に3種、仕掛けたとしてもある程度守備力は担保できそう。
直後に日向がを重ね、すぐにポン。こちらも打点十分だ。
先制テンパイは日向。道中でをポンしてのペン待ちは山にこそ残っていないが、相手からすればマンズが余ったように見え、非常に打ちづらい。
高宮はドラ切り辞さずの1シャンテンまで手を進めていたが、そこにを引いてくる。一応カン受けターツであり、マンズを切らずとも1シャンテンキープは可能。とはいえ、はポンされており、アガリはかなり厳しい。
それでも高宮はを切った。ワンチャンスではあるがリスクのある牌。そしてそれ以上に、高宮はこのままテンパイしたらドラのを勝負すると、打牌で視聴者に宣言した。
打てばおそらく8000以上、さらに親落ちは、トップ必須の最強戦では厳しい。トップ取りのために、ベルセルクは盾を投げ捨て、剛剣を両手で振りかぶった。
マンズ染めの自分に対してドラまでたたき切って勝負してきた高宮が、中途半端なリーチの訳がない。日向とて、それは重々承知している。を3枚並べれば、安全にこの局を逃げ切ることは可能だ。
しかし自分も満貫テンパイ。こんな手が、あと何回この半荘で訪れるというのか。
2人の意地がぶつかり合った勝負局は、高宮が制した。リーチピンフドラの5800。トップ目に立ったが、まだまだ勝負の行方は分からない。
各者のアガリ合いが続き、試合は南3局へ。現状は亜樹が少し抜けたトップ目だが、まだどうなるかはわからない。そこへ、自風の暗刻、ドラトイツというチャンス手が入った。ここで7700クラスの加点は、赤のない最強戦ルールなら十分過ぎる決定打になり得る。
その亜樹がチーから動く。たしかに、は早くも場に3枚目が見えたのだが、それでも亜樹の1段目リャンメンチーは迫力がある。打点か速度か、あるいは両方か。周りの警戒は高まりそうだ。
打点の元をドラ色のピンズホンイツと推測されるなら、その読みをずらす。亜樹は孤立のにがくっついたところでのトイツ落とし、マンズに照準を合わせる。序盤に各者がマンズの上を切っていることで、ペンも強い受けに見えていたかもしれない。
しかし、は丸山の手に3枚。それをメンツと雀頭に使い、丸山がピンフリーチに踏み込んだ。アガリ方次第では、一撃で亜樹を逆転する。
最終盤、亜樹が4枚目のを引き入れてテンパイ。しかしは、丸山には全く通っていない。
もちろん、ここでを勝負して決めに行く打ち手もいるだろう。アガれば決め手になるし、放銃しても、満貫くらいまでなら現実的な逆転条件は残る。しかし、それでも亜樹は行かない。リスクを負ってアガリを狙うより、流局の方が最終的な勝算は高いと踏んだ。