目立ちたがりの
ひょうきんもの……
でも一切のサボりなし、
それがトリックスター園田賢
文・渡邉浩史郎【火曜担当ライター】2024年4月日
第2試合
東家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
南家:二階堂瑠美(EX風林火山)
西家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
これはMリーグに限った話ではないかもしれない。
試合後のインタビュー・配信・SNSのポスト等、かつては遠くの存在でパーソナリティが不明だった有名プロ達の人となりを知る機会が増えた。それにより、視聴者はより親近感を得られるようになっている。
これも現代のトレンドに即した、Mリーグの”熱狂”の一因だろう。
そう、彼を見ていると思い出すのだ。学生時代、クラスに一人はいたあいつを。
目立ちたがりのお調子者、でも憎めないクラスの盛り上げ役。どこかまじめなところもあったあいつは今何をしているのか……
【東1局】
いきなり園田が目立ちたがり屋っぷりを発揮する。
ターツが足りているこの配牌。園田はいきなりのドラ表示牌切りとした。
こういった赤含む表示牌二枚+ドラ、今回で言うの形は、後にドラを引いたときのことも意識していつ形を決めるかが難しい判断となる。
園田の今回の手はターツが足りていても浮いているため、平面だけなら一択だろう。ここでの園田の意図は……
実績解除:第一打ドラ表示牌を打ってその色のホンイツを和了る
「注目してみんな!」
まさかの目立ちたがりである。
もちろんそれだけが理由ではない。
仮にを残してを引いてもシャンポンも三度受けも重たいため、七対子を見切りつつ後のを少しでも鳴きやすくなる伏線を敷く一打としての切りだ。
園田の思惑通り。実績解除とはいかないまでも聴牌までこぎつけるが、これは実らず。
これだけだとただのひょうきんな打ち手。しかし園田の持つ二面性は【東2局1本場】で垣間見える。
12000の加点に成功した瑠美が一枚目のをポン。
これを見た園田。前巡はを普通に切り、こので小考。ツモ切りとした。
そして次巡、を引いて……
音速の切り!!
状況を見れば明白、親の瑠美に対してのベタ降り敢行である。
瑠美はポンして→のターツ落としでいわゆる十分形のターツが足りている進行。(から両面を作ろうとしていないため)
そのうえ場に3枚切れで一番安全なが手出しされたため、受けが広がったか聴牌かのほぼ二択。園田の手牌からはもう押せないとの判断だろう。
もう押せないといいつつ、現物のではなく手順でほぼ当たらないの対子落としで粘りの道を探っているのは園田らしいところ。
思えば二巡前の切りも、瞬間瑠美にの形でしか当たらない牌を先切りした形に近い一打だ。
【東3局1本場】でも園田の守備力は発揮。
Wポン、ドラが打ち出された内川に完全降伏宣言の対子落とし。
ひょうきんに、飄逸に手を進めても決して雑な放銃はしない。
あの園田君の文化祭での丁寧な仕事ぶりに、クラスのみんなも少し見る目が変わる。
かと思えば七対子ドラ単騎を一発ツモで盛り上げたあとは、Mリーグ初の三色同刻の和了りが見える瞬間まで作り出す。
二度の12000聴牌こそ空振りからの放銃でこの表情だが、園田のマジック・アワーはまだ終わらない。