海賊女帝の追撃を振り切れ 全速前進・菅原千瑛【Mリーグ2024-25観戦記 1/20 第1試合】担当記者 #東川亮

しかし、オーラスの主役は菅原ではなかった。海賊女帝・瑞原明奈

1巡目の段階では、配牌は平凡どころかむしろ悪かった。重なった【發】を使ってアガり、2着でポイントを持ち帰るのが基本構想だったはず。

気配が変わったのは2巡目だった。【白】が重なる。

すぐに出た【發】をポン。

切ったのは【中】ではなく、ドラの【5マン】。周りの第一印象は「極端に早い手」だろうか。

瑞原に【白】が重なり、ペンチャン払い。【中】はこの時点で山に3枚あった。

最初の【中】は堂岐の元へ訪れるが、ツモ切り。

次巡、瑞原に【中】が重なった。こうなれば、最終形はもちろん役満・大三元。堂岐が1巡【中】を持っていたら、とんでもないことになりかねなかった。

瑞原は【發】のポン出し【5マン】から【8マン】【9マン】払い。普通のかわし手ならば、使いやすいドラ【5マン】の後にペンチャン外し、すでに3枚も手牌を入れ替えているのはちょっとおかしい。(※黄色くなっている牌はツモ切り)

瑞原、小三元テンパイ。いったんはカン【5ピン】待ちに取ったが、もちろんこれが最終形ではない。

満貫ツモで瑞原を逆転できる多井は、条件クリアの1シャンテンになっていた。そこに引いた1枚切れの【中】はさすがに止まらない。

瑞原、当然のポン。いったんは菅原の現物である【6ピン】単騎待ちに受ける。役満なら菅原を逆転してトップだ。

次巡、【北】に待ち変え。

その【北】は形式テンパイに向かっていた堂岐に1枚浮いていた。【4ソウ】を引いた瞬間、実況席から悲鳴にも似た絶叫が巻き起こる。

浅井堂岐、まさかの2試合連続大三元放銃──

「打たないからね」

堂岐は試合後に笑顔で語った。

瑞原の動向が明らかに不穏、堂岐は形式テンパイを取ったとて、3着浮上の可能性すらほとんど見えない。リスクを負うような局面でもなく、ここはチームのポイントを守った。

最後までアガれる単騎待ちを探る瑞原。

【北】は山にも1枚あったがツモれず流局。

菅原もテンパイできず、大事件は起こらないまま、菅原の勝利で試合は終わった。

話題は瑞原に譲ろう、自分たちはただ勝つだけだ。

まだまだ上は遠いが、それでも浮上のきっかけとなり得る大きなトップになったのは間違いない。

活路を開くために、菅原はこれからも攻め続ける。

 

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