河に並んでいるは、リャンカン固定した際にかぶってしまったもので、を受け駒として残すと、こうなることもあろう。
それはそれとして、優はを積極的に仕掛けて、456三色のイーシャンテンへと手を進めた。
ただ、一応タンヤオへの振り変わりがあるとはいえ、窮屈な手だ。三色でスンナリとアガるためには、との2枚が必要。鳴かない打ち手も多いことだろう。
それでも、チーして前に出た理由を、鈴木優は検討配信で、こう話した。
「トップ目とはいえ親をもう少しやりたいので、2着目の高宮さんをやりづらくさせたかった。」
なるほど、
たしかに、ドラがという真ん中の牌であるため、タンヤオ仕掛けのプレッシャーが強くかかる局面だ。上家の高宮も、意識しないわけにはいかないだろう。
また、優の河はピンズとソウズの危険牌エリアが広すぎる。そのため、仮に上家の高宮が牌を絞るとしても、苦労はしそうだ。
優の手に目を向けると、仕掛ける前は、8巡目に入るところで、リャンシャンテン。巡目として、先制リーチが打てるかは微妙なところだ。
だからこそ、優は点数状況をふまえた対人戦略として、
「親が鳴きましたよ? どうですか? 」
と、他家にクエスチョンを投げかけながら、局を進めることを選んだのだった。
しかし、
即座に勝又からリーチがかかる。
優は、
現物の切り。
ただし、から抜いてベタオリ、とはしていないのが、なんとも優らしい。
ツモあたりでの、タンヤオの復活ルートもしっかりと見ている。
だが、なんとか形をキープしていたものの、
さらなる無筋を引いて、苦しい展開となった優。
もも通っていない。
ここで優は、
「勝又さんの第3打、があまりにもノータイムだったので」
という理由で、
「安全牌のより先に」を打って斬り込んだのだ!!
鈴木優は、こうも語る。
「高宮さんに、“親がまだ来てる、じゃあ自分は引こうかな”と思ってもらえるのは都合がいい」
という戦略もあって、から打って出たのだそうだ。
こんなにも、腹のくくれている麻雀打ちがいるだろうか。
確かに、は、勝又が序盤に切っている牌の外側だ。しかし、それでもワンチャンスの牌。当たる可能性は存在する。
そして、こちらの手はリャンシャンテンだ。放銃したら目も当てられない。
それでも今述べたような、VS勝又の読み、そして、VS高宮への対人戦略を重んじて、前に出た。
自ら仕掛け始め、他家からリーチがかかってもなお、総合的視点で攻めていく姿勢。
なんと独特で、なんと格好のいい麻雀だろうか。
このあと、優は、
を引いて、イーシャンテンから打。
さらに、
をツモってテンパイした!
ここでを勝負し、
を引き寄せて、2000は2300オール!
思えば、2種必要な三色狙いのカンチャンチーから、巡り巡って、この形でのツモアガリ。
まさに、鈴木優オリジナルだ。
このアガリが決め手となって、
優は1位で半荘を終えた。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
という言葉がある。
優には、今日見たような「鈴木優スペシャル」と言える手順も多い。
そのため、トップをとった半荘は、運だけではなく「腕で」獲得した、「納得の勝ち」である印象が見る側に強く残るのではないだろうか。