その道は寿人のもとへ渡っていったのである。
佐々木寿人
「まずはフェニックスさんより上で終えること。それが一番の目標です。MVPは… その先に繋がってくれれば最高ですね。」
レギュラーシーズンで4位以内に入れば、セミファイナル最終日の卓に座ることができる。その言葉の奥に込められていたのは、あくまで個人よりも「チームの優勝」への想いだった。
栄えある称号の獲得へ。最終戦へと繋がる希望のトップを掴み取った寿人。その背中から放たれたのは、力強くも静かな“連投”の決意だった。
そして、最後のオーラス。
他の選手の隠された想いも牌に込められていた。

麻雀界が涙した、岡田の“初トップ”。その美しい物語の裏で、静かに悔しさを噛みしめていたのは、個人ランキング最下位に甘んじた中田花奈だった。

“最後まで私らしく…。”
流れに飲み込まれそうになる局面もあった。それでも彼女は、終盤に静かにテンパイを入れ、最後の一巡まで可能性を追いかけた姿を見せる。個人順位を一つでも上へ。
南4局

その一声に想いを乗せて── 中田は、逆転トップへの最後の願いをリーチという花びらに託し、卓上へ舞わせた。

「リーチ」
名前に咲く“花奈”のように、一輪の花(トップ)咲かせるために。

寿人に放った── それは、今季で最も美しく、静かに散った一牌だった。

来シーズンにはチーム再編が待ち受けるBEAST X。
その未来はまだ見えないが、少なくともこの二年間、共に歩んできた仲間とサポーターからの“狼援”が中田花奈を、きっとさらに強く、美しく成長させたに違いない。
そして最後のこの方、仲林圭。

南4局
中田が放銃する1巡前、MVPの可能性がかかる最終日。
親番の仲林はテンパイから寿人に放銃となるで迂回に回ったのだ。
一体、誰がこの放銃を責められるというのだろうか。
仲林
「あくまで目標はチーム優勝です。」
セミファイナル、そしてファイナルと続く戦いの中で、もしあのツモ切りが生んだ2,600点、その半分の1.3ポイントが、大きな意味を持つ未来が来るのだとしたら。その瞬間、私たちはこう語るだろう。
「あれは、MVP級の一打だった」と。
鳴いても笑っても、レギュラーシーズンは残すところあと一戦。
是非、対局者たちが織りなす“最後の物語”を、皆さんの目で見届けて頂きたい。