それは数ある中の一つではなく 獣の切り札・下石戟の新たな一歩【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 10/2 第2試合(麻雀LIVEチャンネル)】担当記者 東川亮

ピンズが余る前にと伊達が先切り気味に切った【8ピン】を捉えて8000。

南2局には亜樹の満貫ツモで突き放されるものの、南3局には【白】のみのシャンポン待ちをツモってテンパネの400-700。満貫出アガリ条件を残してオーラスを迎えた。

南4局、下石の手は第1ツモで2メンツ目が完成。ただ、この手で真っすぐテンパイまで向かったところで、満貫条件は少し厳しそう。

ということで、4連形から【4マン】切り。通常時であれば違う牌を選びそうだが、満貫狙いをはっきり見ていることが伝わる。

【赤5ソウ】は打点の材料として一度は残すが、ペン【3ソウ】ターツができたところでリリース。これでチャンタ三色の1シャンテン、ダマテンでも出アガリ満貫で条件をクリアできる。

テンパイした。待ちはペン【3ソウ】、亜樹と醍醐の手に1枚ずつ組み込まれており、山には残り2枚。ダマテンでも条件クリアなので、テンパイ打牌の【西】は縦に置く。

下石の待ちは決してよくはない。そして、そこに醍醐のリーチが飛んできた。醍醐はラス抜けまでハネ満ツモ条件だが、出アガリ満貫からのリーチは、まだシーズンの序盤ということもあり、見逃してまでの着アップは狙わないだろう。最後の最後に、熱いめくり合いだ。

こうなったら、テンパイしていない亜樹は見の構え。下石への直撃はもちろん、醍醐への満貫放銃でも着落ちしてしまうため、2人に当たらない牌を慎重に選んでいく。

下石としても、ここは一歩も引けない。ハネ満放銃で3着落ちとはいえ、ドラの【7マン】も押していく。待ちの良しあしではなく、もはや引けるか引けないか、ツモるか振り込むかの真っ向勝負。

【3ソウ】は亜樹に1枚流れ、残りが1枚だった。対して醍醐の【4ピン】【7ピン】待ちは2枚。枚数差だけで言えば不利な勝負だが、

それでも山にさえ残っていれば、ツモれることはある。

下石が最後の【3ソウ】をツモ、ツモチャンタ三色の2000-4000。

BEAST Xの切り札たる男は、デビュー4戦目にして、自らの力で勝利をつかみ取った。

ひょうひょうとしているように見える下石だが、試合後には思わず目をつぶって天を仰いだ。麻雀でトップを取るなんて、これまでに何千回、もしかしたら1万回以上はあるのかもしれない。しかし、やはりこの舞台でのトップには格別なものがあるのだろう。

そんな初勝利の瞬間の心境を聞かれてひと言、

「気持ちいー!」

ポーズはまだまだぎこちないが、それはこれから慣れていけばいい。Mリーグで新たな一歩を踏み出した下石戟、これからいろいろやってくれそうな選手である。

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