どうか忘れないでほしい
苦境のさなか、
戦い抜いた男がいたことを
文・ZERO/沖中祐也【火曜担当ライター】2022年3月8日
【第1試合】
東家:村上淳(赤坂ドリブンズ)
南家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
西家:茅森早香(セガサミーフェニックス)
北家:瀬戸熊直樹(TEAM RAIDEN / 雷電)
半年間に渡って繰り広げられていたレギュラーシーズンの戦いも、いよいよ最終週となった。
半年前というとつい最近のように感じるが、半年も経てばいろんなことが変わる。
個人的なことを言うと、サウナやバドミントンにハマり、そして麻雀プロになった。
そしてMリーグでも多くのドラマを経て…
かつて例をみないチームランキングを形成した。
下位2チームが突き放され、上位6チームが団子状態でひしめく群雄割拠状態。
焦点はセミファイナルへの位置取りとMVP争いに絞られる。
いや、まだ諦めるのには早い!
「今日2戦で150ptくらい稼いで、木曜(最終日)50000点差のトップラス2回のイメージ」
奇跡を信じるファンのためにも、現実的な青写真を描き、村上は卓についた。
東一局、親で始まった村上は…。
ここからを切った。
形だけ見るとを切りたくなる。
が1枚切れているのでなおさらだ。
村上はという形を残しておくことで自然にドラを吸収できるように構えたのだろう。
すぐにが重なり、盤石な形になった村上がツモってきたのは…
なんとも悩ましい。
この赤の他に1枚でもドラがあるのであれば、ツモ切りで問題ない手牌だ。
しかし現実はドラがないので赤を切ってはあまりに安くなる。
のトイツを落とし、赤を使い切る選択肢も十分にある。
が4枚見えているのでタンヤオ仕掛けができるのも大きい。
しかし村上が選んだのは
打と打の間をつく打だった。
同巡、瀬戸熊の手牌。
テンパイだが1枚切れのカン。
瀬戸熊は逡巡した後に、を切ってリーチした。
意外だ。
が3枚見えているし、カンチャン業界でもエリートである28待ちなのでリーチするのがマジョリティだとは思うが、瀬戸熊はテンパイをとってダマテンに構えるイメージ
だった。
4年間の戦いを経て、感じることがあったのだろうか。
先週瀬戸熊をメインで書いた記事が、多くの方に読んでもらえた。
瀬戸熊のことが、あるいは雷電のことが好きで好きでたまらないユニバースの人たちは、どれだけ選手が苦境に立たされようとも、たった1勝しただけでこんなに喜んでくれるのかと驚く。
瀬戸熊の麻雀打っている姿はなんでこんなにかっこいいのだろう。
独自の調査によると、その理由が2つあることがわかった。
1・姿勢がいい
瀬戸熊は学生時代に剣道をやっていたからか、常に背筋を伸ばし、真正面で牌を捉えている。
どうしても猫背になりがちな現代人の中において、凛として戦う姿は一際輝いて見える。
2・牌しか見ない