「サヤカとさやか」の対決に「石井一馬が黙ってない」【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 10/14 第2試合】担当記者 カイエ

こうして激闘は幕を下ろした。

観戦記を書くにあたり、その半荘の軸となる主題をまず構想するのは常套だろう。
今回はそれが「今シーズンの初トップを狙う3人」の図式だった。
そのうえで更なる味付けとして「さやか対決」を描きたいと思った。
実際、この2人はよく手がぶつかった。

「半沢直樹シリーズ」や『下町ロケット』『陸王』などで知られる、人気作家の池井戸潤作品のひとつに『アキラとあきら』という経済小説がある。
そのタイトルになぞらえて「サヤカとさやか」でいこうと考えたのだった。

だが牽強付会というべきか、それではこの半荘のトップ者に対して、いささか敬意を欠いているのではないかとの畏れも去来する。
やはり主役は、その半荘を制した者でなければならないのではないか。
読者の中にもし、推しや推しチームがトップを飾った試合を文章でじっくり味わいたいと願うファンがいたら。失礼な裏切りになるのではないか。
さりとて、いちど構想したプロットやテーマを捨て去るのも勇気がいる。

うだうだと悩むわたしに、この男は黙ってはいなかった。

石井一馬「アースジェッツ!!!」

決めポーズでチーム名を発するのは、セガサミーフェニックスに次いで2チーム目だろうか(RMOは例外)。
新規参入チームとして、ここまでは苦戦が続いているが、ドラ1エースの一馬が今シーズン2勝目をあげ、これを機に上昇ムードに乗りたいところだ。

一馬の押し引き判断や局回しからは、信頼に足る安定感が漂う。
この半荘でも、読みを入れた上での押し判断や大局観で、東場のハネ満で築いたトップを見事に守り切った。
Mリーグ初年度から(2・1・2・0)の成績は立派の一言。
個人MVP争いでも、堂々のベスト5入りだ。
さすがは二つ名「三冠王(トリプルクラウン)」と言いたいところだが、8月に「最高位戦Classic」のタイトルを失い、現在二冠王。この日、プレイヤーズ解説だった下石戟選手の読みによると「個人MVPを獲得しての三冠復帰を狙っている」のでは、とのこと。今後の活躍に期待したい。

そういえば、ヒットメーカーの池井戸潤作品には、他にも映像化されたものが幾つもある。
たとえば、杏が主演を務めた『花咲舞が黙ってない』になぞらえてみるのも良いだろう。
これで、観戦記の方向性が決まった。

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