未来を渇望した福島祐一、田村洸の執念の前に散る。【麻雀最強戦2025 激突タイトルホルダー】観戦記【B卓】文:千嶋辰治

福島の悲しそうな顔。
無理もない。
己の人生を変えたい… 彼は彼なりに心からそう思っていたはずだから。

福島は、11月15日に行われる全日本プロ選手権のベスト8に残っている。
つまり、もうワンチャンスあるのだ。
しかし、まさかそれに自分が出て対局するということは考えてもいなかった。
司会の小山さんからその時の衣装をどうするのか尋ねられた福島だったが、
「今は考えていないです。負けるつもりで来てなかったので…。」

笑顔を取り繕うも、その言葉に無念さが滲む。

しかし、私は思う。
福島が手にした「王位」というタイトルには、不思議な力が宿っていると感じるのだ。
彼が名を刻んだ列には、この男がいる。

一地方プロだった石井は、王位を獲得してその身を立てた。
徹底的な自己プロデュースにより、地元山形県鶴岡市のふるさと観光大使へ、そして今大会の賞品スポンサーである「つや姫」の特命大使として活躍している。
11月の全日本プロ選手権で、あるいは他の機会できっと躍動する日が来るだろう。
注目である。

かくして、福島と田村は勝負の線が引かれた。
数百人のプロがインターネットでその頂を目指した昇龍戦にて、アウェイの夏目坂でタイトルを勝ち取った田村。
副賞として得た最強戦出場のチャンスを生かした活躍劇については、字数の関係もあり本稿では触れられなかった。

田村洸、決勝で躍動す。
その様子については決勝戦の観戦記にて。

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