運命に抗う龍、仲林圭
確固たる意志を貫き、目覚めの時
文・後藤哲冶【月曜担当ライター】2025年11月17日
今季、意外な選手が苦しんでいる。
U-NEXT Piratesの仲林圭だ。
直近数年で一番成績が安定していると言っても良いU-NEXT Piratesというチームの大黒柱である仲林圭は、Mリーグで誰が一番強いか、と聞かれたら間違いなく候補に挙がる一人だろう。
そんな仲林が、今季苦しんでいる。
開幕直後の9月15日に役満四暗刻をアガってトップを飾るも、そこからなんと9戦トップ無し。
それどころか、ここ4試合連続4着というあまりにも厳しい結果で、なんと個人最下位。
チームのマイナスも200を超えてしまった。
それでも、仲林は焦らない。
必ずシーズン中にこの負債を返済すると意気込み、今日もいつもと変わりなく、麻雀卓の席に着いた。
第1試合
東家:佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:鈴木大介(BEAST X)
西家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
北家:日向藍子(渋谷ABEMAS)
東1局、ロケットスタートを切ったのは寿人だった。
開局直後、まずはリーチツモ裏1の2000オールからスタートすると。
怒涛の4連続アガリで東1局にして一気に5万点。
持ち前の破壊力を存分に発揮して、大きなリードを奪う。
東1局4本場
仲林はこの手形になって
切り。
仲林は西家なので
は役牌、1枚切れてはいるものの、ポンしての3900リャンメンテンパイもとれることを考えたら、この
は当然残す。
9巡目に親の寿人から
が出てこれをポン。
もちろん面前でリーチはしたかったが、ドラの
を引いての打点アップも残っていることから、ここはポンしてのテンパイをとった。
ドラ赤、3900の![]()
待ちリャンメンテンパイだ。
しかし10巡目、日向と親の寿人からのリーチを受けてしまう。
一発目に持ってきた
は寿人に通っていない牌だが、これはノータイムでプッシュ。
対1人のリーチであれば当然3900リャンメンテンパイは押し有利。
しかしその後、この
を引いてきて仲林の手が止まる。
日向がリーチ宣言牌発の一個前の手出しが
で切り辛く、寿人にも通っていない。
2人に対して危ないとなると、オリる選択肢もあるが――
ここは押した。
まずそもそもリーチ棒2本+4本場で、アガリの価値が3900+3200、つまり7100点になっていてマンガンに近い打点があること。
![]()
の場況が悪くなく、アガリにも十分期待できること。
以上の点から、仲林は
を押す選択肢を取った。
これが見事な判断だった。
を寿人から捉えて3900。
検討配信では、結果的に2人のアガリ牌であった![]()
は、2人に対して危険度があまりにも高すぎるため引いてきても切ってはいなかったと語ってくれた。
解説では去年までの仲林さんは当然押しているけど、最近は負けが続いているから押せなくても不思議ではない、というニュアンスの話をされていたが、仲林の麻雀はここ最近も全くブレていないように思う。
打牌への自信。それを裏付けるだけの努力。
それがあるからこそ、仲林は強者なのだ。














