日本の壁:多井隆晴はなぜ【2筒】を切ったのか?【Mリーグ2025-26 レギュラーシーズン 観戦記 11/17 第2試合】担当記者 渡邉浩史郎

日本の壁:多井隆晴
なぜ【2ピン】を切ったのか?

文・渡邉浩史郎【月曜担当ライター】2025年11月17日

第2試合

東家:小林剛U-NEXT Pirates
南家:多井隆晴渋谷ABEMAS
西家:中田花奈BEAST X
北家:高宮まりKONAMI麻雀格闘倶楽部

多井は苦しんでいた。

南2局、自身の親番。高宮のリーチと中田の仕掛けを受けた状態である。
ただ、よく見ると手牌にはリーチの現物・仕掛けの中筋の【5ソウ】がある。
ここを切る一手に思えたが……

多井は【2ピン】に手を伸ばし……

これが高宮への5200の放銃となった。

苦悶の表情を浮かべる多井。結局この放銃が響くこととなり、この日多井はラスとなってしまった。

なぜ多井は【2ピン】に手をかけることとなったのか? それを探ってみることにしよう。

まずはこの局のリーチ者である高宮の動きについて。

端っこよりの手牌をもらった高宮。門前で決まれば高打点となり得るため、一枚目の【發】スルーから始まり……

【7マン】【赤5マン】と引いたことで一旦ペンチャン落としとなる。

そして高宮が時間を使うこととなった局面がここ。
チャンタ三色が色濃く見えるが、ドラ引きに備えて【6ピン】を持っておく価値もある。
また河を見ると、ドラ色とはいえピンズの端は既に整理され始めている。

悩んだ末、高宮の選択は……

全てを保留する打【8ピン】となった。

高宮は【6マン】を引いて、ポンテンこそ取れないものの赤を使えるイーシャンテンに。

そして狙い通りに【5ピン】【7ピン】と引いてのリーチとなった。

そして次に大事なのが、この局の中田の動向だ。

6巡目に場に生牌【2マン】【5マン】両面をチーして打【1マン】
周りからすれば何事!? といった仕掛けの上、出てきた牌が【1マン】というのもおかしな話である。役牌の【白】【發】【中】【3ピン】を差し置いて、手牌に【1マン】【3マン】【4マン】と持たれていたという情報が周囲に伝わる。

そして高宮のリーチを受けて打【8マン】・打【7ソウ】と手出しでビシバシ押していく。

これを見た多井は今通ったばかりの【6ピン】をなるべく絞る作戦に。
この時点での多井の読みは「中田の手は高いが、まだテンパっていない。」であろう。
となると場に6枚目の【6ピン】【9ピン】は埋まっていない急所の可能性が非常に高く見える。

トップ取りのMリーグであればこそ、誰かが抜け出す和了が発生する可能性をギリギリまで下げたい。

その後中田はさらなる無筋を引いたことでトーンダウン。
一旦は現物の【2ソウ】切りとなる。

これを見た多井。自身の現物が尽きたこともあり、ここで【6ピン】切りに。
たかが一巡、されど一巡。粘ったその時間で中田のチーテンマンガンを防いだ。

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