トップ取り先生降臨?
渋川難波、
勝利を手繰り寄せた
強気の攻め
文・東川亮【代打ライター】2022年11月28日
あの試合から3週間が経った。
歴史的な敗戦の後、渋川は3戦に出場し、Mリーグ初勝利を含む2勝、100ポイント以上のプラスを重ねる好成績を収めている。
大和証券Mリーグ2022-23、11月28日、第2試合。
渋川難波と黒沢咲は、3週間ぶりに相まみえることとなった。
今度はああはいかねーぞ。
・・・と思っていたのかどうかは分からない。
第2試合
東家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
南家:黒沢咲(TEAM雷電)
西家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)
東場の渋川は、どうにも選択と手牌がかみ合わない展開か続いた。東4局はカン待ちのテンパイで即リーチと打って出たが、決していい待ちとは呼べず、特に好感触があったわけではないだろう。どちらかと言えば、アガリに向かう相手に対しての足止めリーチの意味合いが強そうだ。
は既にテンパイしている園田の手に暗刻だった。ただ、2つ鳴いていて手牌は短く、牌の種類も少ない。を引いたところで中スジを打ってテンパイこそキープしたが、危険牌をつかんだら中のトイツ落としなどでしのぐ算段だろうか。
だが、ここは園田が厳しい選択を迫られる前にツモアガリ。こういうもどかしい展開は麻雀にはあることとは言え、どうにもしっくりこない。
南1局は、各者の進行が面白かった。まずは伊達の第1打。単純な効率から言えばのよりも切る牌がありそうなのだが、ここは手役を見ての進行だったという。詳しくは、ABEMAプレミアムの「対局舞台裏」動画をご覧いただきたい。
孤立のを暗刻にして、かなり戦えそうな形になり切り。が河に3枚並んでしまっている打ち手も多いのではないだろうか。
渋川は伊達の切った場風南を鳴けばカン待ちのテンパイだったがスルー、を引いてシャンテン数を戻す切りとした。この局ではただのアガリではなく、打点を目指していく。
そこそこまとまった形の園田は、引いてきた2sをツモ切りして受けを拒否した。が使えるので単純なロスはタンヤオの消えるのみ、ロスを受け入れてを残したのは、渋川や伊達の現物を持ちたかったのだという。
黒沢はトイツ手への進行。ドラドラで打点もあり、仕掛けを考える打ち手も多そうだが、直後に切られたは当然のようにスルー。
チートイツの1シャンテンからドラが暗刻に。こうなると仕掛けをより意識したくなるところだが、これで終わらないのが黒沢。
四暗刻1シャンテン。鳴いてもハネ満スタートという大物手に育ってきた。
先制テンパイは園田、待ちリーチ。
直後にカン待ちテンパイを入れた黒沢は、切りリーチにを押していく。それを見て、伊達と渋川は引き気味に。
結果は流局だが、非常に面白い1局だった。
渋川としては、欲しいのは面白さではなく、打点であり点数だ。南2局、を鳴いてホンイツへ。しかし、ソーズの一色手には不要なを温存し、北から切り出していく。これは、の手出しを遅らせることでホンイツへの警戒をそらせようという工夫。
そこに伊達がリーチをぶつけてくる。
渋川としては、「やっべーなー」という状況。
とりあえずは鳴いて手を進めたものの、次から次へと危険牌が押し寄せてくる。いったん安全度の高い東を切って2巡しのぐか。・・・そんな彼の脳裏に、どこかで聞いたことがある声が響いた。
「押せ・・・」