その涙の理由は…もはや絶望的に見えた魚谷侑未、復活の前日譚【熱論!Mリーグ】

熱論!Mリーグ【Tue】

その涙の理由は…

もはや絶望的に見えた

魚谷侑未、復活の前日譚

文・アホ東大(院)生【火曜担当ライター】2019年1月22日

 

チームランキングで見ていくと、

2位(+284.4)ドリブンズ

5位(▲105.9)Pirates

6位(▲174.1)ABEMAS

7位(▲247.1)フェニックス

どのチームの残り試合も14~16戦となっており、Mリーグもいよいよ終盤に突入してきた。

2位ドリブンズは、ポイントの余裕もあり、ファイナル進出を見据えてポイントを伸ばしたい。

下位のチームに逃がしてもらえる展開も多くなりそうで比較的有利な組み合わせか。

5位Piratesは、トップを取ればボーダーラインの雷電に迫れ、ラスを引いてしまうと順位を下げてしまいかねない。

Piratesらしい安定した試合運びができるか。

6位ABEMASは、少なくとも2回トップを取らなければ4位には浮上できないと考えられる。

多少無理な選択を強いられる場面も増えていくか。

7位フェニックスは、ここからラスを食ってしまうと▲300台になり後がなくなってしまう。

ラスはなんとしても回避し、トップはなんとしてももぎ取りたい苦しい状況。

ハイリスクな選択を取らざるを得ない場面も出てくるか。

1回戦目は、

村上淳(赤坂ドリブンズ)

石橋伸洋(U-NEXT Pirates)

多井隆晴(渋谷ABEMAS)

魚谷侑未(セガサミーフェニックス)

の対決となった。

 

東1局0本場

石橋がを軽快に鳴いていき、巡目が早い段階で間待ちのテンパイをいれる。

その後、を空切りしていく。

空切りとは、ツモってきた牌と同じ牌もしくは、同様に扱える牌を手出しすることである。

を空切りすることで、他者からはソウズの3周りが待ちになっている可能性があると読みをずらすことが出来る。もちろん空切りと相手にばれてしまっては意味ないし、空切りすることで、その周辺の牌を持っていると相手に知られてしまうデメリットはある。

しかし、今回は多井のこのイーシャンテンの形からを捉え、Pirates石橋らしい3900のアガリ。

 

東2局0本場

石橋の技がこの局でも光る。

早い巡目にと手出しして、

ツモ切り。ダブをポンして

ション牌の打。その後手出し。

滝沢が解説しているが、普通だったら自分が重ねて打点アップを狙ったり、他者の鳴きを警戒してを手に留めたくなるが、石橋は、の切り順。を自分で切っているのにを手に残す。このは、言うなれば他者の読みを妨害するジャミング牌だろう。

実際に村上がの周りのを持ってきて、暗刻のを1枚落とし、チートイツに移行する。するというより、ジャミング牌によって移行させられたのかもしれない。

多井は、1枚切れのを持ってきて手のに残し打が石橋の手の中にあるのでないかという読みだろう。多井はが切りきれず、石橋一人テンパイ。

 

東2局1本場は、多井の追っかけリーチが来た瞬間に、

「リーチ超人」村上淳がリーチツモ裏1をしっかりとアガりきる。

 

東3局0本場

石橋は遠くに一気通貫が見えるこの手牌から、字牌を多く残しつつ、と手出し。

この打牌の意図としては、

①親の魚谷がとツモ切りしていて、役牌を重ねようとしているもしくは、トイツで持っている可能性がある。自分の手が遅いため、他者への安牌として機能する。

の順番で手出しすることで、他者の目からは手の中にターツがすでに足りていて石橋の速度が速いと読みをずらせる。そして、石橋への安牌を持たせ手の進行を遅めたり、注目を自分に集め、他者への警戒を薄くさせたりする効果がある。

実際には二度受けの形だったため、この選択をリスク少なく行えた。

その後も字牌を残し、を手出ししていく「黒いデジタル」石橋伸洋

麻雀とは、自分がアガることよりも他者3人がアガることの方が多いゲーム。

同じチームのPirates小林が自分のアガリ率を極限に高め、他者のアガリ率を下げる選手だとしたら、石橋は自分がアガらずして、他者のアガリ率を下げる選手。

石橋はこういう打牌選択をしたら、他者からはこう見られる、こう考えられるだろうと、他者からの見られ方を常に考えている。他者の思考を考えるのが得意な選手だと感じた。

そのため、感情がインプットされているか怪しい、考えが顔に出ないチームメイトのロボ小林とも仲良く出来ているのか。

 

東3局0本場は、打のダマ満貫を多井がテンパイしたが、一人テンパイで流局。

なかなかABEMAS多井の一撃が決まりきらない、もどかしい状況が続く。

 

東4局0本場

この局も石橋の先行。3巡目にペン待ちをテンパイし即リーチ。打点十分とし、チンイツまでは向かわずに即リーチを決断。

この早いリーチに追いつく者が一人中盤に現れる。

「最速最強」多井隆晴。無筋のを押し、間のタンヤオ三色をテンパイし、リーチに踏み切る。

このリーチ対決、東場を制してきた石橋が勝つのか、復活が待たれる多井が勝つのか。

勝者は……

 

残り1枚のとハイテイで巡り会う、完全復活の多井。3000-6000。

 

南1局0本場

この局は村上が先行。超人らしい好形の待ちリーチ。

この早いリーチに追いつく者がまたもや一人中盤に現れる。親の多井だ。待ちで追っかけ、2000オールのアガリ。

 

南1局1本場

今度は、多井が早いリーチを、点数が競っている子達に投げかける。これにはを鳴いている魚谷も向かえない。多井あっさりとをツモアガリ。

「これがABEMASファンの分、これが松本の分、、、これが俺の分だぁあぁあぁあ」

(白鳥もきっといる)

と裏を3つ乗せ、6000オールに仕上げる。

 

南1局2本場

ここまでツモられ、ツモられで点数を減らしてきた苦しい展開の魚谷に、起死回生の三色赤ドラの間待ちテンパイが入る。

しかもテンパイ時に山に4枚。待ちを間に変えることも出来たが、魚谷は間待ちで続行。しかし、は他者に流れ、彼女の元に訪れることはなかった。

こんな悲劇があっていいものか、ハイテイ牌には。麻雀の神様は、なぜ残酷なこの牌を苦しい状況の彼女に届けたのだろうか。真相は知る由もない。

 

南2局1本場

トップ、2着とだいぶ点差が開いてしまった魚谷、村上。

村上はこの手牌から2枚切れのを残して、ドラのを手放す。アガることで、瞬間魚谷をまくれ、アガリの価値が大きいということだろう。

最悪3着でも良しとするチームポイント2位の余裕が感じられる1打だ。

結果は、魚谷の仕掛けを多井が平和のみでくぐり抜け、南3局へ。

 

南3局0本場

チームポイント最下位のフェニックス魚谷の親番がやってきた。この親番でなんとしても大きく羽ばたかないとフェニックスにはファイナルシリーズは訪れないかもしれない。

そんな重圧を抱えながらMリーガーは戦っているのだ。

をチーの発声は石橋。すぐさま仕掛けを入れていくPiratesは2着良しの構え。

これに続きトップ目の多井からもポンの仕掛けが入る。

2人の仕掛けに挟まれた魚谷。

石橋から鳴いてテンパイが取れるをスルーする「最速マーメイド」

1500点のテンパイを拒否する姿は、大きく打ち大きく勝つチームメイトの近藤誠一プロと重なる。

次巡の石橋の手出しもスルー。チーム状況が彼女をそうさせているのだろう。

最後まで門前で突き進み、自分が勝負を決めるんだという強い意志を、皮肉にも魚谷得意の鳴きを使わないことで感じた。

ドラを石橋がツモアガり、魚谷の親番は流されていく。

 

南4局0本場

村上はこの形から、が出ていくテンパイを取らない打

好形もしくは好打点どちらかを求めていく。その後切りのフリテンの待ちのテンパイ。ここで、元気よくリーチの発声。あとは、待ちを信じてツモるだけだ。

そのリーチを受けての魚谷のこの手牌と表情。

アガることさえできれば、4着→3着への順位アップのときに浮いているドラの。こんなにもいらないドラはないだろう。しかし、このドラを切って親に放銃してしまえば、1回のトップでは、もう取り返しのつかない負債を抱えてしまうかもしれない。

一度切る牌を決めて、手をかけようとするが止まる魚谷。

どちらを選択しても、決して最高の結果が待っている訳ではない。言うなれば、修羅の道か、茨の道かを選ばなければならない状況。それでもどちらかを選ばなければならない。

窮地に立たされた魚谷の選択は……

魂のこもった打。自力でアガって3着をもぎ取りに行く。

最後は、のシャンポン待ちを石橋がツモアガリ。終局。

熱い場面での石橋のカットインの回数はMリーガーでも上位だろう。

一回戦は、

1位 73.9 多井 隆晴プロ

2位 21.4 石橋 伸洋プロ

3位 −37.3 村上 淳プロ

4位 −58.0 魚谷 侑未プロ

となった。

ABEMASは復活の兆しになるエース多井の大躍進。

それとは対照的に、フェニックスはトップがなんとしても欲しい場面での痛すぎるラス。

今年はもうセガサミーフェニックスの蘇る瞬間に立ち会うことはできないのか。。。

二回戦の試合はぜひとも皆さんの目に直接、焼き付けて欲しい。

すでに見た方は、この1回戦の観戦記の続きだと思って、もう一度だけ視聴してみて欲しい。

一言、私から言えるとしたら、次回からハンカチ必須だ。

 

アホ東大院生
22歳。麻雀プロでも天鳳高段位でもないが、とにかく麻雀観戦が趣味。