おばあちゃんちで過ごした夏休み…仕掛けられたおとうさんトラップ【百恵ちゃんのクズコラム】VOL.16

おばあちゃんちで過ごした

夏休み…仕掛けられた

おとうさんトラップ

女流プロ雀士

【百恵ちゃんのクズコラム】

VOL.16

前回までの「百恵ちゃんのクズコラム」

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おでかけ

百恵ちゃんは小さな頃から一人でどこでも行ってしまうアクティブなタイプだった。

はじめてのおでかけは4歳の頃だった。

三輪車に乗って自宅から逃亡し、1キロ程離れた銀行で保護された。その頃の記憶はないがなぜか銀行の前にずっと佇んでいたらしい。きっと百恵ちゃんはその頃から既にお金が大好きでその匂いを嗅ぎつけていたのではないかと思う。

その後も遠出をするのが好きで小学校低学年の頃には一人で200キロ以上離れた長万部町というところにあるおばあちゃんの家までバスや電車を乗り継いで行っていた。
最初こそお姉ちゃんと二人で行っていたが早めの段階でお姉ちゃんが反抗期に突入したため一人きりで行っていた。

おばあちゃんの家に行く時はお母さんに

「◯日に行くねっていうとおばあちゃんが心配したり準備したりして疲れちゃうから」

と言われ、おばあちゃんに事前に連絡することを禁じられていた。

百恵ちゃんはそれに忠実に従っていたがいま思うと急に現れるが絶対に迷惑だったと思う。気の使い方が下手すぎるのだ。

そんなおばあちゃんの家がある長万部町は控えめに言って小学生が楽しいと思うようなところではなかった。

海沿いにある小さな町なのだが、海にはゴミが大量に打ち上がりドス黒い色をしていたし、過疎化が進みコンビニも一軒しかなく、かろうじてお菓子屋さんはあったが暇を持て余したおばあちゃんがやっつけ仕事で開いている様なお店だったのでお菓子は賞味期限が切れているものばかりだった。

しかし何が楽しかったのか百恵ちゃんは夏休みや冬休みといった長期連休のほとんどをおばあちゃんちで過ごしていた。

これは未だに全くもって理解できていないのだが、おばあちゃんの家はおじいちゃんの手作りだと言い張っていたのだ。
もちろんおじいちゃんは大工でもなんでもない。

思えば確かにおばあちゃんの家はおかしかった。

まず大きな橋と小さな橋がぶつかったところの角という意表を突いた場所におばあちゃんの家はあった。
周りを見てもそんな場所に家などはなかったし、大型トラックが橋を通るたびにモロに影響を受け家全体が揺れてテレビがおかしくなるという限りなく悪条件な立地だった。

そして非常に説明が難しいのだが家の作りも意味不明だった。
一応二階建てではあるのだが玄関は二階部分にあり、もちろん道路に面していて駐車場もあった。

それならば1階の部分は地下なのかというとそうでもないのだ。窓もあるし庭もある。もう書いているこっちも訳が分からなくなってきている。
そして一階部分が近くにある海とほとんど同じ高さにあるという最高にスリリングな建物だった。

確かにまともな設計者なら絶対にこんな作りにはしないだろうし、詳しくはないが建築基準法にだいぶ触れているのではないかと思う。

それでもおじいちゃんが一人で家を建てたとはにわかには信じがたい。
なぜなら百恵ちゃんの知っているおじいちゃんは少食で痩せすぎていたので練乳を直飲みしてカロリーを摂取していたし、くしゃみをしてあばらを骨折したこともあるくらいヒョロヒョロだったからだ。

だが確かに長年ニートだったおじいちゃんには時間は沢山あっただろうし庭には建ててる時に使っていたという手作りのトイレがあったり大量の道具などを見ると時々本当に家を建てたのではないかと考えてしまう。
百恵ちゃんの先祖ならやりかねない、と思ってしまうのだ。

しかし毎回言動が二転三転している親戚だらけなので真相はわからない。

そんな血を引き継いだお母さんは百恵ちゃんの実家である自分の家を建てる時に自らデザインを持ち込み、自宅の形を八角形にするという暴挙に出た。

さらに家の真ん中に階段を設置したため、全ての部屋がいびつな形をしており家具の置きづらさたるや本当に酷いものだった。ちなみに百恵ちゃんの部屋はこんな形だった。

百恵ちゃんはそんな八角形の自宅をオクタゴンと呼んでいた。

九州

百恵ちゃんが小学校六年生の頃、お父さんがある提案をしてきた。
それは九州のおばあちゃんのところに遊びに行かないかというものだった。

お父さんは熊本県の出身だったのだが出不精な家庭故に百恵ちゃんはそれまで父方のおばあちゃんや親戚には会ったことがなかった。

一人で行くということだったが百恵ちゃんはいつも一人で送り出されていたので全く不安に思うこともなく二つ返事をし九州に行くことにした。

お父さんが飛行機の往復のチケットを用意してくれ、行きは新千歳空港の搭乗手続きまで済ませてから見送ってくれた。田渕家にしては手厚い対応だったと思う。

北海道から熊本空港までの直行便がなかったため福岡空港に降り立ち、そこから電車に乗って熊本県に向かった。
もちろん乗り方などわからなかったが一人旅に慣れていた百恵ちゃん

“しっかりとしていそうな大人に聞きまくる”

という戦法で無事に熊本県までたどり着いた。

熊本県では楽しく過ごした。帰りにおばあちゃんからお小遣いと何かあった時の為というお金をもらい、百恵ちゃんはホクホクで帰路についた。

しかし、福岡空港で事件は起こった。

チェックインカウンターで搭乗手続きをするためチケットを出したのだが、対応してくれたお姉さんがチケットと百恵ちゃんを交互に見てキョトンとしていた。静寂ののち、

「えっと、、お客様はタブチコウジさん42歳ではないですよね?」

と言われた。

初めは意味がわからなかったがなんとお父さんは自分名義でチケットをとっていた。最後の最後におとうさんトラップを仕掛けられていたのだ。

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