長寿大国日本
生活の質は?
故郷の高知の老人ホームにいる父親を定期的に表敬訪問しております。
母が亡くなってからは犬猫といっしょに一人暮らしをしてましたが、事故や火事などが心配で老人ホームに入って貰いました。
犬猫と暮らすのは楽しいと言ってましたが、犬の散歩でリードに繋いだ犬に引き倒されて、体力の衰えを感じたそうです。
私と故郷の姉は、父の持病も心配でした。
かつて心臓弁膜症の手術や、動脈の取り換えという大手術もしてます。
本人はタフで楽天的。
「ほんなら手術室に入るか、もし死んだら家に帰らずまっすぐ葬儀屋に行ったらええわ」
もちろん手術はうまく行って、生活になんの問題も無し。
心臓の弁膜をステンレスやブタの弁膜に置き換える手術は知ってましたが動脈が取り換えられるなんて初めて知りました。
しかも人工のチューブに取り換えて数年すると、両サイドから血管細胞が伸びてきて本人の血管が復活すると言うんです。
「わしの病気は昔やったら、とっくに死んどるわ」
昔と言っても私たちの言う昔ですから、ホントの大昔。
開発途上国のように、まともな治療法が普及していなかった時代です。
「最初の手術で障がい者2級になって、今回1級の資格が取れたぞ」
1級って英検じゃないんだから。 父の話によると、1級のほうが手術代などの治療費が安く、しかも老人ホームの入居費まで節約できるとか。
私の店でバイトしてた帰国子女が言ってました。
「外国の手術代はめちゃくちゃ高いです。お金持ちでないと治療を受けられないケースもあります」
経済先進国にまで成長した日本はラッキーですよね。
父は私と違って長い間年金を払ってきたので、生活に困らないだけの年金は受け取れます。
もちろん健康保険も完璧。
さらに現在姉一家が住んでいる一戸建ての自宅のローンもとっくに完済。
時どき孫がメンテナンスをしてくれるのを喜んでます。
「わしの子供のころに比べりゃあ天国じゃの」
自宅はリバースモーゲージの担保にして老後資金にすることもできますが、姉一家にプレゼントしても余裕です。
父はマジメにコツコツ、しかも楽しく働いて来ました。
今の日本はそういう高齢者には恵まれた環境になりましたが、そうで無い人たちには厳しかったり先が見えなかったりかも。
私は新宿の移り変わりを50年くらい見てますが、信じられないことにホームレスは増えてます。
マジメに働いても運不運はつきもの。
先の帰国子女によると、貧しい人たちのことを英語圏では恵まれない人、不運な人と言うそうです。
貧乏人や怠け者では無いと。
日本の先進国化に頑張った高齢者は、世界標準から見れば恵まれた生活ができてる人たちが多い。
でも若い世代では先が見えないと感じている人もいるようです。
予想よりも
物事は良くなる
西原理恵子さんの元夫、鴨志田穣(かもしだゆたか)さんのお葬式に私といっしょに行ったのは、末井昭さん島本慶さん片山まさゆきさんの漫画に登場する尾沢老人でした。
数年後、末井さんと尾沢さんは大腸がんで手術。
現在二人とも完治して元気です。 日本人の2人に1人はがんになるという統計がありますが、偶然そうでした。
私も一度腎臓がんと診断されたことがありますが、幸いにも誤診でした。
誤診というか、導入されたばかりの最新電子機器での診断だったので、取扱に慣れて無かったのかも。
でも逆の誤診で無くてラッキーでした。
こうした誤診も今後どんどん減って行くので、若いみなさんががん年齢になる頃には、完璧で格安な診断方法が確立されていると思います。
ネットのTED Talksで紹介されてましたが、白人に多い皮膚がんは、トップクラスの専門医の診断よりも、iphoneの診断アプリのほうが精度が高いケースがあるそうです。
あっという間に追い越すのは確実。
治療法も進歩も著しいので、多くの病気が「早い・安い・完治」になりそう。
私の父が言う、
「昔だったら死んでる」
の恩恵にあずかれますよ。
ただ満足度や幸福感は人それぞれなので、みんながハッピーかどうかは別。
日本はGDP(国内総生産)は高いですが、GDP←お金を除いた幸福度指数や社会進歩指数は高くありません。
日本の自殺者数は公的な統計よりもはるかに多いでしょうし。
でも大丈夫。
自分の生産性や幸福度を上げて行けばいいんです。
余裕ができたら周りの人のそれも上げられるでしょう。
刑務所の鉄格子の間から二人の男が外を見た。一人は泥を眺め一人は星を眺めた。
という言葉があります。